2時間にわたりいろいろ丁寧にご案内頂きました。
皆様ご協力ありがとうございました。
ひとまず日本点字図書館について知らないという方は
公式ページをご覧ください。
入口右側にある看板のようなものは日点図のマークなのですが、
「指に○」(つまり点字のこと)を表現しているそうです。
また、基礎的なサービスや統計データについては
日点図が発行する『感謝録』というパンフレットに載っていますので
ご参照ください。
(これをまとめるのは骨が折れるので)
ここでは、おもしろいところだけご紹介。
まずは録音スタジオ。録音資料を作成する(資料を読み上げて音声を吹き込む)所です。
小スタジオ・中スタジオ・大スタジオなどがあります。
これは小スタジオ前の通路。カラオケボックスじゃないよ!
壁は完全防音です。
下は小スタジオの写真です。
だいたい4畳半くらいのスペースだったように記憶しています。
一人用の録音スタジオです。
奥の方に置かれているのは発音・アクセント辞典です(必要な理由は後述)。
これは机の上。
マイク、本を開いておくための器具などが見えるでしょうか。
録音に際しては「感情を入れない」「絵や図を声で説明する」「正しく発音する」
など様々なスキルが要求されるそうです。
そのため、ボランティアの方は厳選されているんだとか。
エキスパートのボランティアさんになると
利用者から「○○さんが録音した資料を聞きたい」などと問い合わせがあるそうです。
(考えてみれば、タイトル、著者だけでなく書誌データに
「話し手」という項目があったりするんでしょうかね?
尋ねてみればよかったかな。)
今度は中スタジオの写真です。
椅子が二つあるのが見えますでしょうか。
これは中スタジオにあるマスタ録音用の機械です。
今度は大スタジオの写真です。
大スタジオは副音声を録音するときに使ったりするそうです。
写真は撮影していないのですが、この大スタジオで
「企業の商品カタログ(音声版・CD-ROM)」を発見しました。
お話を伺ってみると、
企業からの依頼で「音声版商品カタログ」を作っているんだそうです。
商品説明を読むことが困難な場合に、いかにして商品を選ぶか。
この視点について考えたことはありませんでした。
勉強になりますね。
あと、大スタジオにはこんなものもありました。
オープンテープです。
実は生で見るのは初めてなのでちょっとドキドキです。
そのほか、撮影はしませんでしたが
スタジオの近くには音訳・点訳ボランティアさんが人名地名などを
下調べをするための資料室があります。
戒名・法名・神号・洗礼名大事典、江戸語辞典など、
「発音・読み」を正確にするための
普段あまりお目にかからないような資料が主だったように見えました。
音声を再生するということは、漢字を見るわけではないため、
「読めない漢字だけど同じ文字を書いてごまかす」ということはできません。
正確な発音・読みが重要なんですね。
録音するタイトルは、
ベストセラーやリクエストを踏まえて、
職員で構成される選書委員会において決定。
月10タイトル程度が選ばれるそうです。
ちなみに1タイトルを録音するのに4か月くらいかかるとか…。
(ボランティアさんの活動時間にもよる)
なお、録音が終わったデータは
編集ボランティアさんがページ、行などを入力して
貸し出せるデータに仕上げていくそうです。
○貸出について
現在、電話や窓口、郵便などで利用登録を受付しており
1万5千人ぐらい登録者がいるそうです。
全貸出のうち90%くらいが郵送(郵送料は国費負担)なんだとか。
録音資料は基本的にはケースに入れたまま管理し、
ケースごと郵送しているそうです。
ケースの中央部にある黄色いカードは
表に利用者の住所、裏に日点図の住所が書かれており
住所を書く必要がないという仕組み。すごい。
また、ケースの下部にタイトルが書かれていますが
紙をスライドさせてタイトルを隠すことで
利用者のプライバシーを守ることができるようになっています。
そういえば
「カセットテープなどは進む・戻るなど相対的な動作しかできなかったが
DAISYはページ、行など絶対値の選択が可能なシステムだ」
というわかりやすい表現をいただきました。
授業で使わせていただきましょう。
それと
視覚障害者総合ネットワーク・サピエというサービスが新しく始まっています。
webページ読み上げソフトに対応するために
無駄のないレイアウトにするとか、
弱視の方向けに白黒画面にするとか、
なかなか興味深い機能がついてたのが印象的でした。
○レファレンスについて
レファレンスについてはあまり詳しく尋ねませんでしたが
「読みたい・聞きたい資料が点訳済み・録音済みか」
という問い合わせがけっこうあるとか。
○施設内の気になる写真
手すりが急激に段になっているのは、
「階段と踊り場の境目」をわかるように。
あたりまえかもしれないけど館内地図も点字付きです。
一度触っただけで頭に入れてしまう方も多いそうです。
自販機の商品模型の外側にも点字。
中身を入れ替えるごとにシールを張り替えるそうです。
普段見かける自販機にもあちこちに点字が書いてありますが
シールまでは見たことがなかった。
自販機に関しては、機械を操作することより
お金を落としてしまったときの方が大変なんだそうです。
なるほど。
○点字の印刷について
○そのほか
文芸春秋などの雑誌をカセットテープで録音・貸出してた頃は、
録音→貸出→返却→データの消去→新刊を録音→貸出というサイクルだったそうです。
そしてデータ消去する際には「消磁機」という
機械を使って磁気データを消していたそうです。
テープをベルトコンベアーに乗せて流すと
中央あたりで強力な磁場を発生してデータを消去、という仕組み。
(あまり正確に理解してないかもしれません)
○点字タイプライター
○墨字辞書と点字辞書
写真中央に置いてある白い資料はコンサイスの英和辞典です。
そしてその後ろにある赤い資料群はコンサイスの点字英和辞典です。
コンパクトな小辞典クラスのものが、点字にすると百巻になります。
さすがに日点図で作成したわけではなく、
東京点字出版という出版社から取り寄せたそうです。
○点字毎日:日本で唯一の点字新聞
○現在開催中の展示会
高橋りくさんという方が「スナエ(香りつきの触れる芸術)」の
作品を館内にいくつか展示されています。
絵の解説も点字付きです。
(2012.2.20毎日新聞の夕刊に記事が載っている)
○おまけ
・点字ブロック
安全交通試験研究センターによると点字ブロックは岡山県で故・三宅精一氏が昭和40年に開発されたそうです。
JIS T 9251:2001によって規格化されています。
点状のブロックは「警告ブロック」(止まれ、警戒しろ)、
線状のブロックは「誘導ブロック」(道が続いてることを示す)。
・サイン入り
・点字地球儀
・関連書籍
・愛の点字図書館長などを読んでみるのもいいかもしれませんね。
・著作権マニュアル2008 新版 見えない・見えにくい人への情報提供サービス
研究費で購入しました。近いうちに手に入れられるはず。
○感想:
さて、この記事は皆さんのお役に立ちましたでしょうか。
個人的には、目の不自由な方への理解を少し深めることができた気がしています。
同時に未だあまり理解をしていなかったこともわかりました。
18歳以上、障害者手帳を持っている、という条件に当てはまるだけでも
31万人の視覚障害者がいると言われています。
そのうち全盲が20万人、
さらにそのうちの1割程度しか点字を読めないという話も伺いました。
もし役に立ったというのなら
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ぜひご協力されてみてはいかがでしょうか。
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