2011年9月30日金曜日

最近みつけた図書館関係動画 vol.14 (2011.9.30)

今月は豊作な様子。
本に関する動画探しは来月に回しましょう。


ITメディアで時代遅れになった品を展示するネット博物館として紹介されていたMuseum of Obsolete Objectsがかっこいいのなんのって。

YouTubeのチャンネルで見るのが一番かっこいいけど、
ここではサンプルを一つだけ貼っておきましょう。

Compact Cassette/MoooJvM(YouTube:2011.8.30 投稿 2分05秒)


僕はこれをみて「あるある!」と言える世代ですが、
さて何歳下までだいじょうぶかな。

とりあえず、上記のチャンネルに登録されたいずれの動画でも、
基本的な使い方と利用上ありがちな欠点がわかるような構成。
音楽、動画の作りともに素晴らしいです。


COOLといえば、こんなのもみつけました。

NZ Book Council - Going West/TheNZBookCouncil(YouTube:2009.11.18 投稿 2分11秒)


タイトルの意味するgoing westの意味をしっかり捉えきれていないんだけど、
go west だと、同名の映画があったり
死ぬとか、太陽が沈むとか、役に立たなくなるとか、そんな意味も持っている様子。
難しい。

New Zealand Book Councilというのは公式サイトらしきものを見る限り国立の非営利組織みたいですね。
図書館との直接的な関係性はよくわからなかったけど。



ところで、今アメリカの図書館では"禁書週間"が行われています。
簡単な内容はカレントアウェアネスポータルの記事を見ていただくとして、
まずは今年のプロモーション動画でも見てみましょうか。

Banned Books Week 2011/ThomasUniversityTU(YouTube:2011.9.15 投稿 3分9秒)


もうひとつのプロモーション動画の方がメッセージ性は強いですけど、勢いのある方がいいような気がするね。

関連する動画としては"virtual read-out"という禁書の朗読などをする動画が集められていたりします。ちなみに一番再生されていたのはウーピー・ゴールドバーグがちょっと語っている動画です。


同じくカレントアウェアネスポータルに
公共スペースを読書空間に変える“The Uni”プロジェクト(米国)というエントリが出てましたね。

ちょっと気になってThe Uniのサイトを見ると
本を寄付してもらったり図書館家具を作ったりして、
どこにでも青空図書館をつくれるようにしよう、という発想のプロジェクトみたいです。

ベンチ(兼本棚を雨風から守るカバー)を作ってる動画がflickrにあがってました(part3まである)。
意外に手作業の大量生産。素材は何なのか、とても気になります。

日本にも、というか僕の生活圏にも欲しいなぁ。
ベンチでのんびりしながら読書とか最近やってないなぁ…(遠い目)


その他、気になったのは以下に。

  • 「かっこいい図書館について教えてほしい」と言われたときのためにアメリカに点在するかっこいい大学の図書館10パターン/GIGAZINE もクリップしておきたい。


  • 動画ではないけど、こころ踊るサイト:製本のひきだしあらわる。Web機材展のページで動画があれば最高だった。欲を言えば製本史もまとめて欲しいという気持ちもありますが、授業には使えそうだからよしとしましょう。


  • アメリカの著作権集中管理団体「コピーライト・クリアランス・センター」(Copyright Clearance Center、CCC)が、著作権法の基本を解説したビデオ(Copyright Basics Video)を作ったらしいので見てみた。基礎的な内容。英語にそれほど強くない人でも、著作権のことを知っていれば伝えたいことはわかりそう。


  • STI UpdatesOA支持の研究者 vs. 商業出版社(アニメ)という記事がでる。しかしアニメである必要は… いや、実写だと殺伐とするから悪くはないのか…。気になる方はこちら→Scientist meets publisher: the video




ふぅ 何とか月末までに間に合ったか。

サイト右上部を何とかしなきゃとは思いつつ今月も放置しっぱなしですが、
また来月をお楽しみに。

2011年9月29日木曜日

シンガポールの図書館がうらやましいです

先日ちょっとした縁から「シンガポールの図書館政策 情報先進国をめざして」という本を頂きました。

「シンガポールがおこなった『Library2000』というプログラムとその結果」についてまとめた、A5判、本文145ページ(うち40ページくらいが写真)の3時間くらいで読めそうな本です。

ちょっとGoogle界隈を見渡してもレビューがいくつか見当たりますので、
ここではお礼を含めた簡単な感想と紹介ということで。



読んでみて特に印象に残ったのは、
徹底的な改革志向を貫くための人材マネジメントの話です。

一部分引用しますと、
首脳陣や管理職は「愚かなアイディアというものは存在しない。あらゆることが可能であり、少々のルール違反は許される」ことを、あらゆる機会を捉えて職員に告げる(p.47)

なんて書かれてました。

びっくりするでしょ? そしてうらやましいでしょ?


何せ改革時に及び腰になりがちな上の方から改革をせよときたもんだ。

さすが図書館を重視して国ごと改革を目指しただけある! ってもんです。



後半には写真付きで各図書館の紹介もありますが、特に面白いのはこのあたりでしょうか。

  • ジョロン広域図書館の「円形の迷路」(p.109)。床に書かれた半径2mくらいの円の内部に迷路を作り、中心に置かれた本棚を目指す仕組み。こどもが好きそう。


  • 十代の若者が地べたに座って読書をするスペース(p.111)も興味深い。みんな靴はいてるのに。


  • 貸出冊数に応じて回す権利がもらえるルーレット、Spin and Win(p.116)。あたれば文房具などの商品がもらえるらしい。


  • library@esplanadeという芸術系の図書館にある、ピアノ演奏専用スペース(p.118)と演劇で使われた衣装のディスプレイ(p.119)


  • トーア・パヨーコミュニティ図書館にある、船の形をした児童用書架。船の外壁が書架になったような形をしているけれど、内側にも入れるらしい。(p.129)



そのほか、ジョロン広域図書館(Jurong Regional Library)で行われている
Verging All Teens(V.A.T.)とよばれる若者向けサービスの体制もおもしろいです。

10代のボランティアと国立図書館局のスタッフが組んで
サービスを計画・運営しているようです。
10代の心をひきつけるため、
漫画とかポップミュージックを含む資料選定にも若者が参加するそうな。


V.A.T.に関連する資料を探してみたところ簡単な公的資料が見つかりました(PDF,3ページ)。

FaceBookのアカウントもあるみたいです。



日本でもいろいろな図書館サービスが展開されていますけど、
新しいサービスをどんどん打ち出すほどの組織体制にはなっているのでしょうか。

興味深いところです。

2011年9月27日火曜日

「屏風は双という単位で数えるんだって。」「そうかい!」

法令上、司書資格をとるために必修となる資料組織演習という科目があります。

これは図書館に受け入れる資料から
タイトルなどを抜き出したり、分類などの記号をつける科目なのですが、

演習と名がつく通り学生に課題を頑張ってもらう時間も多く、
教員にも暇な時間があったりします。


そこで今日は『日本目録規則(NCR)』という
「検索用のデータベースや目録に登録するデータのとり方に関するルールブック」みたいな本の、

巻末についている用語解説集を読んでました。


授業では時間の都合などにより図書や雑誌のデータのとり方が中心になり、
それ以外の資料のデータのとり方についてはあまり踏み込まないため、

用語集で引いたことがない用語もけっこうあるのです。


ということで、今日初めて勉強した用語はこちらでございます。


  • 隻 ― 左右一対の屏風の,一方だけを数えるときに用いる語。

  • 双 ― 左右一対の屏風の,対を単位で数えるときに用いる語。

  • マイクロオペーク ― 縦および横の方向にマイクロ画像を収めた不透明な材質のシート。

  • 目首 ― 目次の冒頭の語句。

  • 屋号 ― 近世において出版を業とした家の称号。一般には商家の屋号も入る。

  • 零本 ― 欠巻・欠冊が多くて,残存部分が少ない資料。端本。
(『日本目録規則 一九八七年版 改訂三版』付録6 用語解説 より抜粋)


どうも僕の人生では、片手で数えられるくらいしか出番がなさそうです。

まあ、そこが楽しいんだけどさ!


出版用語な気もするけれど、目録用語は奥が深いですね。



ところで、改めて用語解説やら他のルールを眺めていたら、

「カタロガー(データの登録などをする人)にとって最も苦しい資料は何か」について

とても気になってきました。


単純に考えると、
"何も書いてない資料"、"発音が想像できない謎の言語で書かれた資料"
あたりかとは思うのだけど、

形やら、入手条件やら、出版形式も含めて考えないと…。


よし、そのうち「もっとも難しい架空の資料」の条件を割り出すチャレンジをしよう!


この企画が有意義かどうかは別にして、勉強にはなるだろうし、おもしろそうだから。

余裕があったら実際にその資料を作ろう。


そして、その時のタイトルは
「半人前が目録規則に挑戦状をたたきつける」とかにするんだ。

あ、なんかワクワクしてきた!


2011年9月5日月曜日

おすすめDVD 『言葉の力 読書の歴史』

久しぶりにやって参りましたDVD紹介のコーナーです。
(本当は2カ月前に書くつもりだったんだけどネ!)

________

今回紹介するのは『言葉の力 読書の歴史』という作品です。
2009年にカナダのノマド・フィルムで制作されたDVDで、全4巻。
1巻あたりの値段は18,900円。時間は各52分。
日本語字幕は株式会社ポルケ、販売は紀伊國屋書店です。

アルベルト・マングウェルを案内役として
(「読書の歴史 あるいは読者の歴史」という本を執筆しており、そのレビューはインターネット上にもちらほら)
読書との向き合い方や魅力、必要性などについて描いた作品です。

一言でいえば、読書の歴史にまつわるドキュメンタリー映画と考えるといいかもしれないです。

上映会をやっている図書館もあるようだし、
「読書」に興味を持っている一般の方が見ても楽しめる内容だと思います。
個人的には、司書課程を勉強する学生くらいが適したレベルだと考えてますけど。


4巻のDVDはそれぞれ異なったテーマを持っています。ざっとこんな感じ。
ホントは細かくメモをとったんですが、まとまりきらなくなるので簡単に。


  • 第1巻『読書の魔法』

  • 文字を使う文化・文明の発達にまつわる歴史と、
    「記録をする」「集めて保存する」「読む」ということの意義についてまとめられています。

    ラスコーの壁画、メソポタミア文明のくさび形文字&粘土板、
    "ギルガメシュの叙事詩"の紹介から始まり、

    新アレクサンドリア図書館の創設者による「知識を手に入れる環境の必要性」の解説、

    知識の保存にキリスト教と修道僧が果たした役割や、
    "聖書を自分の頭で解釈する"という読書法への変化、

    内戦の続くコロンビアで活動している「ロバの移動図書館」の話などがあります。


    個人的には、
    "正しい書物の読み方"を考えるために作家A・J・ジェイコブズがおこなった
    聖書の教えを実際に全て守ってみるという体当たり企画が面白かったです。
    「聖書ほど間違って理解されている書物もない(だからみんなが正しく同一の理解することは難しい)」
    という結論に達してましたけどね。


    この巻を授業で使うなら、
    図書館史で西洋の歴史を一通り勉強した後に見せるのがよさそうです。




  • 第2巻『読書の可能性』

  • 読書ができないとどうなるのか、読書をすることで何が起きるのかがテーマ。
    文字が読めない、本がないことが引き起こす不便について事例を交えながら紹介しつつ、
    最後は「読む」という行為を脳科学的・神経学的にとらえて解説もします。


    カナダで先住民族に行われている読書支援活動から、
    (先住民族以外も含めて、カナダでは成人の6人に一人は文字が読めないそう。)

    ポンペイ遺跡で発見されたパピルス荘といわれる図書館の解説、

    読書を巡る「J・G・ハインツマン vs D・ディドロ」の論争を再現した演劇、

    絵文字的言語(漢字とか)と西洋のアルファベットに使われる
    脳の領域についての検証(脳の使い方は違うらしいですよ。)など。


    文字を知らずに苦しんできたミセスの言葉、
    「郵便物さえ親戚の家に行って内容を教えてもらわないとわからない。
    文字が読めないことは外に出られないことと同義で、
    引きこもるしかないから外の世界を知らない」(意訳)に衝撃を受けました。

    そして締めの言葉として語られる、
    「満ち足りた人生へのパスポート、それが読書なのです」という言葉の重み…。


    識字や読書の重要性、効果について実感ができる一本。
    司書課程の授業で使うなら児童サービス論や学校図書館系の科目でしょうか。



  • 第3巻『禁じられた読書』

  • 「検閲と表現の自由」の話。
    表現の自由の必要性やその難しさ、貴さが描かれています。

    イスラム教の予言者を(風刺的に)漫画に書いたことによるデンマークの暴動や、

    「ボヴァリー夫人」「チャタレー夫人の恋人」などに代表される性的なために禁書とされた本をを巡るいざこざ、

    ナチスドイツを巡る諸々の言論統制とべーベル広場の焚書の映像、

    バングラディッシュ、インド、トルコ、エジプトなどの政治的な弾圧と検閲、
    (エジプトは政権崩壊前の話であることに注意が必要)

    ネットワークのアクセスブロックや検閲を回避してアクセスを確保する研究についての説明など。

    最後に、Googleが中国政府の検閲に荷担しているのでは?という話も少し出ていたけど、
    2010年には状況が変わったのでDVDを見るときは補足が必要でしょう。


    命を狙われる恐怖から生まれる「自己検閲」は検閲ではないのか、
    他者が不快に思うことを書いても表現の自由として許されても良いのか。
    なんとも難しい問題です。

    法律で権利を認められている日本で「表現の自由」を叫ぶ人のうち
    それまでの人生を捨て、土地を失い、命を狙われ、住むところを転々としながら
    戦い抜く人が何割いるかわからないけれど、
    その数字がはっきり示される日はこないで欲しいものです。僕だったら自信ないですから。


    授業としては「図書館の自由」の話とセットで使うと良さそうです。



  • 第4巻『読書の未来』

  • 「資料保存とその体制」が作りだす読書の今後について。

    ドイツのマインツにあるグーテンベルク博物館で技術者が金属活字の解説したり、

    修復家が酸性紙、木材パルプの問題について説明したり、

    フランス国立図書館、アメリカ議会図書館の取り組みを紹介したり、

    物語の進め方を読者が選ぶという体験型小説「誰でもアリス」の作者や
    日本の携帯小説家ヤノ・フミ氏と読者、出版社へのインタビューなどがあります。
    (時間がなくてあまり調べられなかったので、このあたりはよくわからなかった)

    あとグーグルの電子ブックプロジェクトについて、
    一企業に任せるというのはどうだ? 利益に走ったらどうなる?
    という公共性や安定性の話なども出てきます。
    もちろんそれほど専門的な話ではないですけども。

    もし授業で使うなら、図書館史の最後や図書館情報資源概論などが良さそうです。





自分の授業のどこに組み込むかは悩ましい問題ですが、
知的なものを好む学生には受けそうなDVDですので、積極的に見せたいです。

入手可能な方は一度ご覧になってはいかがでしょうか?