2011年2月15日火曜日

司書がいなくなったある図書館の話

ここ最近は通信課程の講義をやっておりまして。

通学課程とは違って現職の図書館員や、逆に図書館に派遣をしてる方とか、
学校教員をやっていて司書教諭に興味を持ったとか、
いろんなバックグラウンドをお持ちの方々とお話をしておりました。


そこでいろいろ雑談をしている中で、
もしかするとこんな話も役立つかと思って記事を書くことに決めました。


タイトルにあるように、
実質的に司書がいなくなったある図書館の話です。


といっても残念ながら公共図書館ではなく、大学図書館の話。

PFIや指定管理の話だったらより多くの人が喜ぶのかもしれませんが、
それとは異なる話であることをご了承ください。


それと、この記事は嘘かほんとかわからない、
インターネット上で見かけた胡散臭いただのブログ記事だと思って読んでください。

大学や人物の特定につながることはぼかして書きますし、
僕が誤解している部分もあるかもしれませんから、
できの悪い作文だととってもらってもいいですよ。



ではまず、その大学のあらましから始めましょう。

_______


大学創立は今から数十年前、元は理科系の単科大学だったそうです。

教員、学生数ともそれほど多くなく、
当時はきちんとした司書が5人がかりで動かす体制だったとか。


その後いつの頃からか、大学が方向転換をして複数の学部を持つ総合大学になり
学生数、教員数とも数倍に膨れ上がりましたが、
図書館は派遣職員を一人増やす程度の対応となったそうです。

国内の私立大学で時々みられるように、
創業者一族が経営を握っていて、人件費増を敬遠したからでしょうね。


大学の方針として研究ではなく教育を重視、
というより専門学校化を進めた結果、
図書館を重要視しなくなったことの表れなのかもしれません。



とはいえ、ここまでだったら、まあ、よくある話。

図書館をこよなく愛する方は大きく反発するかもしれませんが、
経営側が積極的にお金を使いたがるはずはありませんからね。



問題はその後です。


ある時、創立者の強固な後ろ盾を得てやってきた教員が好き放題やり始め、
その図書館で働いていた司書を一人残らず異動させてしまいました。

なぜわざわざそんなことを? と多くの人が疑問に思うでしょうが、
「逆らうのが気に入らない」という理由で動いてしまう組織もあるんです。

私的な理由で権力を行使できるうえ、
実情や後のことをまったく考えないとは恐ろしい話ですが
ヒステリックな人が権力を持った場合には必然かもしれません。

結果としてある者は大学を去り、
ある者は図書館へ戻ることを夢見ながら他部署へ。
きれいさっぱり崩壊となりました。


その後、さすがに補充があり、新しく2人を雇う体制となりました。
1人は元専門図書館員、もう1人は図書館で働くのが初めてな方。

いろいろと疑問はありますが、とにかくリスタートを切ることになったそうです。

ところが直後、学生や教員あわせて数千人という大規模な環境に
対応ができるはずがないことに気づいたのか、


「教員」を使うことになったそうです。


それも図書館に通じた教員などではなく、
元一部上場企業の事務や、全く関係ない社会学者や外国文学の教員などです。
(「皇帝」が連れてきた後輩達)

図書館なんて誰がいても同じという発想だったことは確かです。
「授業の準備は家でやれ! 大学にいる間は図書館の仕事をしろ!」と指示も出ていたそうです。


頭数だけで物事を測るのも大概にしろよ、と憤慨する勢いですが、
"図書館を重視しない"とは最悪の場合こうなることを意味しているのです。



数年後、創立者が引退して後ろ盾を失った「皇帝」は排除され、
大学の組織自体もだいぶまともになったそうです。
同時に図書館の復興が始まりました。


具体的には、他大学のベテラン図書館員を連れてきたり、
図書館情報学について勉強した人間を教員として連れてきて働かせました。
(※教員は司書課程が忙しく事務仕事はしないけど、
 各種企画や館内のレイアウトを変更するための図面などを作成した。)


さらに数年して、
職員は専任1人、パート4人の計5人となりました。
うち司書資格持ち3人、経験者1人のようで厳しそうですが
今ではだいぶまともな大学図書館になったようです。

_______


さて、ここまでが大体の流れ。


そしてここで考えなければならないのは、
「事実上司書がいない状態で図書館がどうなったか」という点。
(事実上と書いたのは、頭数だけ揃えてあるという意味です。)


なにせ上のような状態はなかなか発生しないでしょうからね。
これが貴重な情報になるものだと思っております。
実名を出して公表されることはなさそうな性質の話ですし。



で、具体的にはこのような事が起きたそうです。


  • 教員が研究室を持たず、図書館の事務室で授業作りなどの作業をしながら図書館業務をこなす。

  • かろうじて仕事のわかる司書も畑が異なるうえ日々の事務処理に追われ、教員に細かく仕事を教える余裕がない。

  • 蔵書点検が全く行われなかったので不明本の数が不明。財産管理上の問題が発生。

  • 目録データぐちゃぐちゃ。項目の意味がよくわかってない。

  • 大学に所属する教員が研究費を使って本を買うときは図書館を通すことになっていたが、人手が足りず作業も不慣れでごく普通の本でも経費の処理に半年~1年待ちが当たり前。図書館の信用失墜で頼りにならないと判断される。協力者減る。

  • コレクション? バランス? 何それ? とりあえず出入りの業者が最低限必要そうな資料を売りに来る。何を基準に購入の判断をしたのか完全に謎。

  • 学部構成が改組をしても雑誌編成等は見直されない。誰も読まない学術雑誌多数(ただしビッグディールではない)

  • カウンターに立つのが教員であるため、利用者に対して教員として接する。

  • レファレンスサービス? 何それ? わかんなかったらとりあえずOPAC使ってよ?




壮絶。


一応ことわっておきますが、
僕はある日突然図書館の管理を任された方々は悪くないと思っています。

無茶な人事をしたのが大問題なのであって、
任された側の方々が責任を持って奮闘されたであろうことも確認していますので。



とはいえ少なくとも、
図書館のことをよく知らない人だけ集めて何とかしようというのは、無謀だということです。
極端な事例だとは思いますけどね。


「司書資格」がたいそうな資格だとは思っていませんが、
持っているのといないのとでは大きく違う可能性があることも考えさせてくれます。


この記事を読んだ方はどう考えるでしょうか…。






さて、繰り返しますが、この記事を心の底から信じてはだめですよ。


ましてや、僕を当事者扱いするだなんていけません。


やけに生々しい作文であり、
それを通して司書資格の必要性について考える一助にする。


この記事はただそれだけのためにある記事なのですから。

ぜひともご注意を。

3 件のコメント:

  1. @kerohappy on Twitter2011年2月16日 15:51

    公立図書館の司書の方と、よく本の話をさせて頂きます。すでに図書をご紹介いただくというより雑談に近いのですが、自分が好きな本という世界について実際に購入目録をつくり、書庫を点検して下さっている方がいることにあらためて感謝の気持ちを持つ事になりました。司書資格は学部によっては履修科目により簡単にとれるようですが、人間的な視野の広さも必要ですから、1度社会経験のある方を採用するなど、工夫があれば尚良いのではと考えております。

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  2. コメントありがとうございます。
    Twitterでお返しすべきか悩みましたが、ここにお返事を書きたいと思います。

    図書館の仕事は、よく利用される方にさえ見えない部分が多く、そのためか、「司書などいらない・専門的な勉強をしなくても良い」という意見は非常に多いように思われます。

    大学で楽に資格が取れるのが問題であるというご意見にも賛成です。
    そのためにカリキュラムが変わったり、あたらしい資格を考えたりと、図書館を統率する側も苦労をしているようですが、「司書の身につけるべき能力と資格のあり方」のビジョンは個人差が大きいようで…。

    個人的には「図書館以外の勉強をする」というのが良いかと思っていましたが、企業で(特にサービス業など?)経験を積んだ方を積極採用という案もおもしろそうですね!

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