パピルスで遊ぼう

2011年8月19日金曜日

ネタ 企画

t f B! P L
パピルス製作編はこちら。
1日目
3日目
10日目
12日目


完成したはいいものの、何をしたら意味のある記事になるのか。

いろいろ考えたりボツにしたりしながら(詳細はページ最下部"おまけ"へ)、
「ハガキ程度の大きさってことはハガキとして使えばいいんじゃないか?」
という結論に達しました。


そうすれば
文字を書く過程でペンごとの特性を比較できるし、
切手がうまく粘着するかも確かめられて面白いじゃないか!

ついでに郵便局で重さも測ってもらえるじゃないか!



ということで送れるのかどうかは別にして、
きちんと裁断してハガキのように加工してみました。

実家宛「残暑見舞い」の完成です。





複数のペンで試した結果驚きの見苦しさに!

しかもただでさえ字が汚いのに、
パピルスが凸凹してまっすぐ線を引くのが難しかったりするので
いつもよりさらに汚い!


だが仮に恥とわかっていても、やらなければならないのだ…!


さりげなくヒエログリフを書くほど遊び心も全開ですが、
字の汚さをごまかすために
いっそすべてをヒエログリフで書けばよかったという後悔も…。



どの部分を何で書いたかというと、こんな感じ。






見づらいのは愛嬌ってことで。



それぞれの書き心地をメモしておきましょう。


  1. 万年筆

  2. ほとんど気にせず書ける。インクがやや滲む。
    ちなみに文字は「ざんしょおみまい」と書いた。たぶん書けいているはず。

  3. 水性サインペン

  4. ゆっくり動かせばきれいに書ける。滲まないが、パピルス繊維の凹凸のためかすれた感じになる。

  5. 鉛筆

  6. かろうじてかける。パピルスが脆いため筆圧を強められない(繊維を削って貫通しそうな不安が)。そして消しゴムは使えない。黒鉛がやけに光に反射していて字が読みにくいけど、それはHBだからかも?

  7. ボールペン

  8. 凹凸があると先端の球が上手に回らないのか、書きにくい。
    一つの線を引くために2度書き、3度書きしてやっと線が途切れずかける。
    パピルスの繊維の向きに沿って線を引くのは楽。しかし繊維の向きに直行する線を引くのが難しい。

  9. 油性ペン(マッキー)

  10. 筆圧に関係なく書ける。やや滲む。一番書きやすかったかも?

  11. シャーペン

  12. 先端部がパピルスの繊維を削ってしまうためか、非常に書きにくい。
    この中では最も書きにくかった。2文字で諦めるくらいに。

  13. 蛍光ペン

  14. 凹凸の凸部分にしか色がうつらない感覚。
    茶色の紙にピンクの蛍光、というのがそもそもダメだったかもしれない。

  15. ゲルインクボールペン

  16. 形状がボールペンだからか、やはり書きにくい。



もしかするとメーカー、ブランドによって差が出るかもしれないけど、
今回その点の比較はあきらめました。
手近なところにあるペンしか使えなかったものですから…。


ちょっと滲んだりはするものの
「インクを乗せる」感じの筆記具は書きやすかったです。
万年筆しかり。油性ペン、サインペンしかり。

逆に先端部が尖っていて、筆圧をかけながら書き込むペンは書きにくかったです。
紙の上が平面であることを前提にしているんでしょうかね。
ボールペンしかり、鉛筆・シャーペンしかり。


ちなみに裏うつりしたものは一つもありませんでした。

一枚の中でも薄い部分と厚い部分がありますが(12日目参照)、
それでも大丈夫とは…、さすが木の皮みたいな存在。


手元にあったら墨汁&筆なんかも試してみたかったな。
違った結果が出そうだし。


さて、ここからが問題だ。

これは送れるのか?


不安を感じつつ郵便局に持って行ったところ、意外と普通に送れそうでした。

ただ「重さ」と「大きさ」が規定に満たなかったため
今回は送れないという大変残念な結果になったけど。


日本郵便の定形郵便物・はがきの基本条件によれば
長さが14cm~15.4cm・幅が9cm~10.7cm、
かつ重さが2g~6gがハガキとして送れる条件なのですが、

裁断をしたせいで長さが12cmくらいになっているうえ
重さも1.5gしかなかったため今回は送れなかったのです。


小さすぎるもの、軽すぎるものはなくなりやすいので…と、
窓口の美人に説明をしていただきました。

でも素材は気にしてなかったしね。大丈夫みたい。



そして送るわけでもないのに切手を貼ってみたところ、
一応きちんと貼れました。


でも剥がす気になれば剥がせる状態でした。





うーん… 
研磨やコーティングをされていない板に
セロハンテープ貼ったことありませんか?

だいたいそんな感じなんですが… 通じるかなぁ…?


パピルスの繊維ごと剥がしている部分もあるし、
「脆く」て「剥ぐ気になれば剥げる」ってことでしょう。



【まとめ】

  • 表面に凹凸のある「パピルス」に何か書くときは、万年筆や油性ペンなど筆圧をかけずに書ける筆記具推奨。
  • 大きさ・重さの条件を満たせばハガキとして送ることも可能。
  • 切手はきちんと貼る。しかし剥がす気になれば剥がせてしまうので注意が必要。
  • 明日から帰省するので残暑見舞いを手渡しするが、どんな顔されるかちょっと不安。



【感想】

この企画にはだいぶ時間をとられたけど、これでやっとおわりだなー

こどものころ夏休みの自由研究は苦痛で仕方なかったけど、
大人になって「研究の仕方・考え方」を理解できるようになってみると
実に楽しくてしょうがないです。


夏休みの自由研究で苦しむ子どもがいたら、
大人として積極的にアドバイスしてあげることにしましょう!


_______________
以下おまけ。

実は完成した後、紙の品質や特性の捉え方について調べてみました。
(即時入手可能な範囲の資料だけですが)

ご存知の通り紙と言っても記録媒体として活用されるだけではなく、
トイレットペーパーや牛乳パックなどいろいろな用途があります。
あるものは熱に強く、あるものは水に強い。
紙の種類を調べれば何か面白い検査をするための手がかり、
実験をするための手がかりになるかと思ったもので。

『特殊機能紙』(紙業タイムス社, 1997)という本には
機能紙、つまり特定用途に特化した紙の分類が載っていました。

一部抜粋するとこんな感じです。


一次機能細目
力学特性高弾性、高強度、耐衝撃性、内部補強性、耐摩耗性
熱特性耐熱性、保温・断熱性感熱性、熱成形性
非燃焼性難燃性、不燃性
電気・電子特性絶縁性、伝導性
磁気特性・光学特性磁気記録性、蛍光特性、燐光特性、感光性
音響特性音響遮蔽性、振動特性
耐薬品性耐酸・耐アルカリ性、高温耐薬品性、防錆性
濾過性多孔性、イオン交換性、孔徑規制、油水分離能
吸保水性保水性・結露防止性
耐水特性水溶性、防水・撥水性
耐油特性耐油性、吸油性
生化学特性薬剤徐放性、生体適合性、生理検査能、抗菌性、殺菌性、消臭性、防虫性


しかし
後々授業で使う可能性を考えると破壊検査的な方法は躊躇われますし、
非破壊検査は僕には使い方のわからない高度な機械がないとダメっぽい、と。

参りました。


小宮英俊著『おもしろい紙のはなし』(日刊工業新聞社, 1990)には
紙の縦横、裏表、つや、重さ、酸性 or 中性などの調べ方が書かれていましたが、
工業製品としての「紙」についてまとめられていたためやはりどうにもできない話ばかり。


残念ながら学術的な有用性を見出す方向でまとめられず
滲み具合・書き心地をなんとなく比べて楽しむことにしました。

少し悔いは残るけど、今の僕にできるのはこの程度でしょう。


ハガキを送るにあたっては、
「完成ぶりをアピールし、感謝を込めて紙の博物館宛に送る」という案も考えたけど、
さすがにちょっと引かれるかと思いやめました。

こういった遊びに付き合ってくれる仲間とは
手紙のやり取りをしたことがなく、気恥ずかしいので却下。
いっそプロポーズとかに使えば面白いかもしれないけど
そうするとここに晒せなくなっちゃうしボツです。しょうがないね。


最後にさらなるおまけ情報ですが、

木村光雄編著『雑草からの紙づくり: 考え方と方法』(木魂社, 1995)
という本をみかけましたので
気になる方は目を通してみると面白いかもしれないですよ。

こっちの雑草紙を比べた方が自由研究っぽいですよねー。

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自己紹介

自分の写真
ある日突然図書館司書資格関係の科目を教えることになり、司書と司書教諭の必要科目の大半を担当していました。次に図書館関連の道具を販売したり建築・改築をする仕事に転職し、図書館の機械化部門で図書館システムやらIC関係の仕事をしました。現在は大学図書館の司書(大学病院図書室、電子資料契約、RDM等の担当)として勤務。 ブログは教員のころに始めたものなので、当時からするとコンセプトは大きくずれているけど、まあよしでしょう。 博士(図書館情報学)。

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