1.売り物のようなサイン
2.学校図書館員のやりがいとは
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久しぶりの取材・見学活動になる今回お邪魔したのは、
茨城県つくば市にある中高一貫校"茗溪学園"の図書館です。
学校は創立後約30年ですので、比較的若い学校になるのでしょうか。
図書館の風景はこんな感じです。
現在図書館が対象とする利用者は
学生約1500人、教職員(給食の調理師等も含む)約200人、
あわせて1700人近くにのぼります。
図書館の運営に携わるのは
司書教諭2人、嘱託職員1人、学生アルバイト1人(週1)の計4人で、
司書教諭のうち1人は授業(情報)も担当。
(※司書教諭は図書館部所属だが、校務分掌では教務部にも所属している)
蔵書冊数は約6万8千冊。
資料は司書による選定が多いものの、
リクエストや保護者からの寄贈による収集も多いそうな。
5年生(高2)で「個人課題研究」(卒研のようなもの)を行うため
少し専門的なコレクションが揃っていたり、
家庭科の授業で読み聞かせを行うための絵本なども充実しています。
細かいデータは書かないけれど、
資料費も充実しており、
貸出冊数も茨城県内の私立学校トップレベルです。
行事面で気になったのは「古本市」でしょうか。
これは学園祭のときに図書委員が中心となって行われる古本販売企画で、
関係者から集めた古本や、
図書館の消耗品である前年度分の古雑誌や付録を販売するというものです。
売り上げは寄付に使われるとのこと(今年は東日本大震災への寄付)。
その他、
「七夕飾りを用意したら帰国子女の教育などに意外な人気だった」
なんて話も伺いました。
帰国子女の教育に力を入れている学校ならではですね。
学生の図書委員編成もなかなか興味深いところ。
こんな感じに編成されています。
・カウンター班:朝、昼、放課後に貸出を行う係
・督促班:延滞者に督促状を作る係
・新着班:毎週受け入れる新着本を配架する係
・装備班:ブックコートをかける係
・処理班:ゴミ捨て係
・統計班:利用者統計(貸出冊数等)を掲示する係
・配架班:返却された資料を配架する係
・企画班:イベントの企画・立案・実行係
自分の高校時代(公立高校)を思い返すと
せいぜいカウンター班くらいで、グループ分けなどされてなかった気がします。
「督促班」「統計班」「企画班」などは他の学校図書館にあるのかな?
あと高校3年生の学級委員として「新聞コラム係」がいるというのも驚きました。
この係は毎朝図書館にやってきて、
複数の新聞からコラムを切り抜き1ページに編集する係です。
その原稿は後で印刷され、高校3年生全員に配られるんだとか。
受験にも役立つ教育ですね。
サインもインパクトがありました。
短期アルバイトに来る卒業生(現在は美術系の大学生)にお願いして作ってもらったんだとか。
業者さんの仕事かと思いましたよ。
図書館業界専属のサイン作りをしてご飯たべられるんじゃ…。
あ、でも図書館はお金とれる業界じゃないかな…。
他にもかわいらしいポップ(上とは別の人が作った)がありましたので
写真を貼っておきましょう。
気がついたらけっこう長居をしてしまったのですが(約3時間)
最後に1つ「Q.学校図書館員のやりがいとは何ですか?」と尋ねてみたところ
こんな回答を頂きました。
- お客さんが未来ある若い子たちであることがやりがい
- 指導要領に縛られない真の「教育」ができる場所
- 公共図書館などと違い、互いに何者であるかわかっているため人間関係が重要
- 反応が直接ある。投げかけたものが直接帰ってくるのが面白い。
「やりがいについて」は漠然とした質問となってしまいましたが、
"学校図書館は学校でもあり図書館でもある"ことを強く感じました。
当たり前なんですけどね。
図書館を通したコミュニケーションは、
館種を問わず「資料管理・提供側」と「資料利用側」という分け方が可能かと思いますが、
それに加えて「図書館を間に挟んだ人間関係」を築き
様々な意味で生徒の成長を促す場所、
「学校」だけでも「図書館」だけでもできない仕事ができる場所、
それが「学校図書館」なのですね。
「未来の広がる若者を学校図書館ならではの方法で育てることができる。」
なんとやりがいのある仕事なのでしょうか。
図書館業界には「やりがい」を実現できずに苦しむ方が数多くいると思います。
その結果この業界を離れていくことも少なくないでしょう。
だからこそ夢を持ち、実現している図書館に希望のようなものを感じます。
取材ができて本当によかったと思いました。
ご多忙な中お相手くださった茗溪学園の図書館の方々に
この場を借りてお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
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以下おまけ。
今回は珍しく先方がこのブログをご存知であったため、
気合を入れなおして伺いました。
知人が働いているため
プライベートな楽しみも含まれた訪問ではあるものの、
この道が長いエキスパートの先生に
「茨城県の厳しい学校図書館事情」や「公立と私立の壁」などについて
レクチャーいただく機会まであり、大変勉強になりました。
やはり取材は楽しいです。
肩書を濫用していると言えなくもないですけど、
肩書なんていつなくなるかわからないので全力で使わせていただきますよ。
最後に今回の反省点。
スケジュール的に先方に迷惑をかけてしまったことと
余裕があったら蟹型ブックカートの実現を頼むつもりだったが
真面目な話が盛り上がったのですっかり忘れてしまった
ってことくらいですかね。
むむ、これは忘れて正解だったかな…?
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