2011年4月27日水曜日

映画『格子なき図書館』を見たよー

研究活動の一環として
国立近代美術館 フィルムセンターに所蔵されている
『格子なき図書館』という1950年に制作された映画を見てきました。
外形的な話や映写方法については以前の記事をどうぞ(恥ずかしい間違いをしていたので一部修正しました))



この映画は図書館団体が上映会を行うこともあり、
ご存じの方もそれなりにいらっしゃるようですが、
上映会だと巻き戻しなどできないですからね。


時間の許す限り巻き戻しや一時停止を駆使しながらメモしてきました。

とはいえ有料の特別映写で、
せいぜい2回見る程度の時間しか確保できなかったため
メモの間違いがないことを祈るばかりです。

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まずビデオ全体の内容について。

黒一色の背景に
「U.S.I.S アメリカ文化映画 米国国務省提供」という白文字が
書かれているところから始まります。
USISというのは,
United States Information Service[米国文化情報局]のことです。


でも映像はカラー。
日本語ナレーションやBGMがあり、無声映画ではありません。

そしてアメリカの図書館ではなく
当時における日本の新しい図書館について紹介した映画です。

基本的な性質として、
戦前の日本の図書館を否定し、
先進的(アメリカ的、現代的)な図書館の紹介と普及を目的にしているそうです。
(大学の講義でそのように習った)


初めに古い日本型図書館を使う男性の不便さを見せて解説し(6分くらい)、
その後新しい図書館の体制やサービスを紹介するという
「比較」に重点をおいた構成となっています。


タイトルの「格子」とは書庫と閲覧室の仕切りを指していて、
それがなくなるということですから

"自由に書庫に出入りできる"

すなわち閉架(自分で書架から本を手にとって選べない)から
開架(自分で書架にある本を選べる)への変化を意味しています。


映画の中では、あくまで変化の一例として表現しているにすぎませんけどね。
(ただし、これが一番大きな変化とみなされている様子だった。)


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さて、古い日本型図書館がどのように描かれているかというと、

  • 開館前から図書館の前に人だかり

  • (資料が手に入るまで時間がかかることをみんな知っている図)

  • 館内の閲覧権交付所で閲覧権をもらってから閲覧室へ

  • (入場券 + 整理券みたいなものかなぁ? はっきりした説明なし。)

  • 索引カードを見て本を司書に頼む

  • (分類がすり切れていて1時間かかって本を選んだとか。分類法や索引法の否定ではなく、管理が行き届いていないことがアピールされていた)

  • 閉架式なので、司書が該当する本を書庫から取り出すまで待つ

  • (本を頼むのも受け取るのも同じカウンターの前なので混雑している)

  • せっかく手に入れた本が期待していたのと違う

  • (しかも読みたかった部分が切り取られている…)

  • 閲覧室で本を読む

  • (脱帽、禁煙と書かれていてがっかり)




ああ、自分で本を選べたら…



と、だいたいこんな感じの流れです。

閉架式というのは不便だねぇ。


現代の閉架式、国立国会図書館の場合は
事情が特殊でやむをえないところもあるし
閉架式=悪とは思わないけど。

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そして新しい図書館ですが、

大きく分けて、
  • 新しい図書館1の事例
  • 新しい図書館2の事例
  • 巡回文庫の例
について説明が行われます。


新しい図書館1はどこの図書館かわからないけど、
現代でいえば「町立の公民館図書室」みたいなイメージ。
広さ的には小学校の教室4つ分くらいに見えました。
(一瞬だったから自信ないです)

図書館の入り口にかけられた看板(○○道場とか書いてもよさそうな木材)から
以下のようなインフォメーションが読みとれました。

・土曜日午後
  ・子供会
  ・お話・紙芝居
  ・幻燈・映画など
  ・子供としょ館

レコード、コンサート

・定期休館
  ・毎週月曜日
  ・祝祭日
  ・毎月最終日


気になるところを赤くしました。
幻燈、現物は見たことないけどスライドショーらしい。


この図書館では週末などのイベントとして、
普段こどもの図書室にしている部屋を片付けて席を作り、
となりの部屋からフィルム映画を映写する、なんてことをやってました。

レコード鑑賞会やコンサートなどのイベントを含めると
現代でいうところの「公民館」と一体化している感覚ですね。

視聴覚機材、記録メディアの発展と共に
このスタイルはなくなったんでしょうけど、楽しそうでしたよ。




新しい図書館2(新潟縣立図書館)
「建物が古くても開架で入場無料は可能です」
とナレーション入りで紹介されている図書館です。

サービス面だけでなく、技術面、運営面も見せようとする構成。


新しく採用されたアルファベット式索引法が便利とか、
写真も本と同じように分類してファイルに綴じると良いとか、
利用者の希望はよく聞くべき、
地域の団体などともよく会議をすべきなどと説明されてました。

古いアメリカの雑誌に掲載された写真を切り抜いて
貼り絵を楽しむ子供たちの描写もありました。


単純に楽しそうではあったけど、
「すべての雑誌がアメリカのもの」だったことには
どんな意味があるのか… と考えてみたり。
物流や出版の状況も調べないとわからないけどね。


それと、
"新しくて忙しい仕事"として視聴覚ライブラリーの管理が紹介されていました。


僕の個人的な印象だと、今日の図書館では
"視聴覚資料"という資料は重視されていないようなんだけど
当時はまさに「目玉」だったんでしょうねぇ。

今回フィルムセンターの研究員の方にご紹介いただいた
「映画教室」という雑誌の昭和24年6月号に
"ナトコ"という機械を使った映像教育の事情や、
CIEの映画に対する当時の意見などが載っていてなかなか面白かったですよ。


ここで出てくるレコード保管用の什器にわくわくしたんだけど、今でもあるのかなぁ…?

引き出しが折れ曲がるなんてすごいなぁと思って再現図を作った上で、
意外と面白くない気がしてきた。




やっちまったかな…




あとは巡回文庫の例ですが

三輪バギーに本を積み込んで図書館長が直々に公民館で活動の説明をしたり、
舟にに本を積んでみたり
本を背負った3人組が雪山を歩く映像が流れていました。


なんか、たくましいですね。


その他移動図書館の例として
千葉縣中央図書館のBookmobileも紹介されていました。
(日本図書館協会から出ている『図書および図書館史』に写真があります)



最後に主張の正当性を強調するためか、
「仙台、新潟、長野、千葉、静岡、金沢、大津、神戸、高地、鹿児島では開架が始まっている」
とナレーションが入っていました。


僕の記憶では大阪の中之島図書館がCIE図書館の1つだと記憶しておりましたので
大阪が含まれていないのはなぜ…? と感じたけど理由は不明。
単なるうっかりかもしれません。


そして何の説明もなかったうえ特に大事ではないけど、
最後に閲覧室の様子を流している時に、
当たり前のように煙草を吸っている人がいました。

これも新旧の対比か?とは思ったもののはっきりわからずじまい。





だいたい以上のような内容です。

事実と感想の入り乱れるレビュー(というより感想文)
となっておりますので、わかりにくかったらすみません。


本当は図書館団体が映像を先方から譲り受けて
無料で動画サイトにでも公開してくれるのが理想なんだけど、
そんな話は聞いたことがないと仰ってたしねぇ…。

パブリックドメインとは一体なんなのやら…。 ふう…。

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