コピペレポートとの戦い

2011年3月6日日曜日

無責任発言

t f B! P L
先日99%コピペで作られたレポートと遭遇しましてね。
(語尾だけいじってあったので100%ではない)

普段はその可能性を考慮して、レポートによる採点そのものを避けているんですが、
通信課程の科目だったから避けようがありませんで…。


最終的にはコピー元のURLをコメント欄に記載し返却したんですが、

1.どこで疑いを持ったか
2.どうやってコピー元を探したか
3.URLを付けて返した理由



などについてインターネットの片隅に書いておくことで

愚痴を書きつつ、釈明もしつつ、
誰かのために役立つことを期待する、というのが今記事の趣旨です。



1.どこで疑いを持ったか

今回のケースでは、文章の流れにはふさわしくない主語が疑問のきっかけでした。

具体的には、
「図書館は○○すべきである。」という主旨で書かれた文が続く中に
「学校図書館は△△である。」と書かれたくだりがありました。


「図書館は」と表現する場合、多くは「(公共)図書館」を意味しており
今回の文章もそれらしい話(学校図書館には該当しない話)が書かれているのに、

なぜそこで学校図書館の話が出てくるのか?

なんか不自然に文脈が切り替わっているし、一応調べてみるか…? と思ったわけです。


教科書レベルでは載っていないはずの知識が書かれていることにも違和感はあったんだけど、
そこは自力で論文を読めればわかる可能性もあるので、
完成度の高さに疑いは持ちませんでした。

学生とは思えない完成度の文章だなぁ、くらい。
(自分の親より年上の方だったので、それぐらいできても不思議ではない)


発見方法としては、
「この文章××で読んだことがある!」というのが理想的なんだけれど、

本当に残念ながら、こちらも自分の研究分野以外の領域だと、
そこまでの知識は必ずしも持ち合わせていないのです。

この点は、いずれ時間が解決してくれると思って頑張るしかないのだけど。




2.どうやってコピー元を探したか

基本的には"Googleのフレーズ検索を使う"ことによって探しました。

フレーズ検索というのは、
"(ダブルクオーテーションマーク)でくくられた文字列と完全に一致する文字列を持つページを探す検索方法です。


Googleのフレーズ検索を使う   と入力して検索した場合と

"Googleのフレーズ検索を使う"  と入力して検索した場合を比べればわかるでしょう。



Google以外の検索エンジンでしかみつからないコンテンツだったら? とか
本からコピーしてる場合どうするの? とか

そんな疑問は残りますが、
コピペする人は手軽なもので済ますつもりだからねぇ。


また、この手段を使う場合は以下の3つのコツを抑えておくと良いでしょう。
  1. 検索フレーズはある程度長く(10文字くらいは入れるといいかも)

  2. ページを特定する能力の高い語(固有名詞とか)と低い文字列(例えば "について" など)を含むフレーズを使う

  3. 検索フレーズに文末を含めない(語尾をいじる程度の小細工をしてくることが多いため)

情報学の勉強をしている方は
ついでに「tf・idf」の算出方法も勉強しておくといいですね。




3.URLを付けて返した理由

レポートを採点する基準は教員にもよりますが、個人的には、
「課題に対して応えられる知識をどの程度持っているか」を重視したいと考えています。
答える というより 応える のような気がするかな。


どこまで本人はやれるのか、何を理解しているのか、
それをはっきり見せてもらわないと
僕自身が何に対して点数をつけているのか全くわからなくなってしまいます。

例えば、
「頭をまったく使わずに切り貼りした文章に高得点をつける」ということは
「切り貼りによって自然な文章ができて日本語が上手!」という意味にしかならない気がするんです。

ということで、確認に3時間かけて、
文末だけいじって切り貼りしたものであることを割り出したのです…


いやー、実に嬉しくない話だ…。


結果としてコピー元のサイトは全部で8つほど。

その中には、今話題のYahoo!知恵袋もありました。
斬新な課題設定のおかげか、「質問者=レポート執筆者」なのは間違いなさそうです。
(わかりやすいアカウントなんてとるもんじゃないよね)

困ったとき誰かに助けを求める姿勢を非難するつもりもないし、
ツールそのもののシステムや、答えた方にも罪はないと思っています。

しかし使う側にモラルが必要なのは間違いないでしょう。



そのモラルを学んでほしいし、
言い逃れなどできないことも理解してほしい、

そんな気持ちでURLを示して警告を出しました。


今担当している通信課程のシステムだと、
合格するまで何度でもレポートを提出できることになっているしね。


次に書かれたレポートから努力の証が見られたらいいなぁ。








___________________________
余談:友人と回答を共有するタイプのコピぺ

これは一度に何本もレポートを読んでいればすぐわかります。

ただし「偶然の一致だ!」と言い張られると
「構成やら参考文献やら、ここまで一致するのはおかしいだろ!」以上の事が言えません。


"状況証拠は明らかに黒だけど誰も犯罪の瞬間を見ていない"ようなもの。

「偶然の一致」を否定するだけの根拠をどう準備するかは難しい問題です。


権力を行使して、
「最終的に単位認定を行う私が駄目と判断したから駄目なのだ!」
に落ち着かざるを得なくなることが大半でしょう。

あらかじめ学生に「文章の類似度を判定するルール」を説明して、
「90%以上同じなら同じとみなす!」とか宣言するのも良いんだけど…。

本質的な解決は難しいです。


着任して一年目の時に
僕の主観で"同じ"と判断できるレポートが2本あったら、点数は2人で半分ずつに分けてもらうよ!
と学生を牽制したのも懐かしい思い出です。


レポートが100点満点だとしても、2人で分けたら50点ずつ。

単位を取得する場合60点以上必要なことを考えると、
"友人とレポートを共有してるのがばれたら確実に共倒れ"にする作戦。


ささやかながら効果はあったみたい。


理系…、というか"最終的な答えが1パターンしかない"タイプのレポートだと
きっとこうはいかないんでしょうけどね。

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自己紹介

自分の写真
ある日突然図書館司書資格関係の科目を教えることになり、司書と司書教諭の必要科目の大半を担当していました。次に図書館関連の道具を販売したり建築・改築をする仕事に転職し、図書館の機械化部門で図書館システムやらIC関係の仕事をしました。現在は大学図書館の司書(大学病院図書室、電子資料契約、RDM等の担当)として勤務。 ブログは教員のころに始めたものなので、当時からするとコンセプトは大きくずれているけど、まあよしでしょう。 博士(図書館情報学)。

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