「さらに! 同じタイトルに150分もセットでお付けしましょう!」
「最高ね!! もう信じられないわ!!」
↑
ここまで僕の脳内イメージ
ここから現実
↓
この3月中に、
図書館に関係しそうなビデオとかDVDを一通り見ようと考えておりまして、
ひとまず現在までに見た20時間分をいくつかの記事に分けて書きたいと思います。
(最低でもあと23時間は映像を見る予定。予想通りのヤバさ。)
今回は『書物5000年』シリーズと『本の歴史 ~5000年の旅~』をご紹介。
『書物5000年』シリーズ
丸善から出版された図書・読書のビデオ。1999年制作。
CSデジタル放送「BOOKTV大学 書物5000年」を再編集したもの。
慶應義塾大学のHUMIプロジェクトが主導している(?)
VHSビデオ1本につき50分の映像で、全13本(巻)のシリーズとなっている。
シリーズではあるが各巻に直接的な繋がりはなく、
順番も5000年間の時系列とは関係ない様子。
続編に『書物5000年Ⅱ 自然科学書は語る』(2006年制作 DVD全3巻)がある。
各巻は以下の4パートにより構成されている。
「書物の文化史」(15分~25分)
- 慶應義塾大学の髙宮利行教授の講義映像。
- 比較的アップで撮っているせいか、放送大学の講義映像よりも眠くなりにくい。
- 丁寧でわかりやすく、書物や道具を実際に見せながら解説。
- テーマ設定も興味深い。
「書物の解剖学」(5~10分)
- 各巻のテーマに関係ありそうな資料を、落ち着いたBGMに載せて字幕解説するパート。
- 資料の特徴と考えられる各部分をアップで撮影し、スライドショーにしたような感じ。
- 自分の授業で使うならこのパートが中心になりそう。
「本の談話室」(15分~20分くらい)
- ゲストと髙宮教授が対談するパート。
- 大学の教員や、図書館の関係者、文筆家など様々なゲストが登場する。
「書物を知るための本」(5~10分)
- 髙宮教授とゲストがそれぞれ本を紹介するパート。
- 「参考文献」みたいな位置づけ。
総合的に見ると、
図書館司書として現場に立つためではなく、
知識や読書、技術の発展と社会への影響が知りたい人におススメなビデオ。
司書資格の科目で使うなら、ビデオを見せるより
『図説 本と人の歴史事典』から資料を探した方が使いやすそうです。
個人的には歴史も好きだし書物も好きで、
見ていて楽しいんだけど、授業となると視聴覚資料は存外使いにくいものです。
それを踏まえて授業で見せたいのは以下の部分。
(図書館史で使うことを前提に。)
1巻:「書物の解剖学」42行聖書について解説。書物名は知っていても特徴は理解しにくいので助かる。
3巻:「書物の文化史」中世の写字生の生活についての講義。
4巻:「書物の文化史」印刷機の成立とワインの関係を講義。知らない人にはたぶんおもしろいはず。
5巻:「書物の解剖学」写本時代やインキュナブラの装丁を解説。
10巻:「書物の文化史」音読から黙読への変化について講義。技術の発展と行動の変化を合わせる考え方は大切。
Ⅱ-2巻:「書物の文化史」教科書や写本時代の授業形式について講義。やる気ない学生が教室の後ろの方にに座る法則は今に始まった事ではないらしい。
Ⅱ-3巻:「書物の解剖学」生物学の著名な書物を解説。『ミクログラフィア』『博物誌』『百科全書』『種の起源』など。
個人的には怪しげな機械が大好きなので
『本棚の歴史』で読んで以来久しぶりに見たbook wheel(第8巻で説明あり)が最高なんだけど、仕事には使いにくいからねぇ…。
興味のある方はぜひご覧ください。
『本の歴史 ~5000年の旅~』
ひとけのない筑波大学の図書館情報学図書館でみつけたVHSビデオ。
2001年 日本図書館協会 制作 全45分。禁帯出。
対象年齢ははっきりわからないけど、小学高学年くらいからかも?
案内役のお兄さんが子どもと話しながら興味を喚起するパートと
工場などの実演映像パート(ナレーション付き)から構成されている。
細かく見ると以下のようなテーマを持つ(一部のパートは勝手に名前をつけた)。
「書写材料・文字の歴史」
- パピルス、粘土板・くさび形文字、ばいたら、木簡・竹簡について映像を交えて解説。
「紙の作り方」
- 和紙を手作りする方法について実演。製紙工場の映像あり。
「筆記具の歴史」
- スティルス&蜜蝋(2500年前)、ガチョウの羽ペン(7~18世紀)、鉄ペン(18世紀)
- 筆(紀元前200年)、紙巻き筆、平安時代の矢立
- 鉛筆(1566~)、万年筆(1822~)ボールペン (1888~)
などについて簡単に説明。
「印刷の歴史」
- 円筒印章、拓本、活版印刷機の仕組みを簡単に説明。
- DTPについての解説もある。製版フィルムやら刷版、オフセットについての説明あり。
「製本の歴史」
- 和装本、洋装本、および本の各部の説明。
- 洋装本の製造工程を工場のラインに合わせて見られる。
- 丁寧に並べる→裁断→折→丁合→糸綴じ→プレス→接着剤による固め→三方裁断 という流れ。
「古書の修復」
- NDLでの修復を5分くらいで説明。
- 糸綴じや背、タイトル、虫食いの修復などが見られる。
子どもの演技など無理を感じる部分もあるけど、
工場のラインの映像を見るのは楽しいです。
「よくまとまったビデオ」と捉えるか、
「簡略すぎて物足りない(それぞれの説明が少なすぎる)」と捉えるかは視聴者によるかも。
個人的には、必要なことは一通り撮られていると考えています。
パピルスペンの先端が万年筆のペン先に近い形をしていることにも驚いたしなぁ。
でも子供向けな感じが随所に見られるので、
大学の講義では若干使いにくいかもしれませんなぁ。
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