宮内庁の書陵部についての概要はこちら(※パンフレットのPDF版)をどうぞ。
今回の見学は、僕にとっての恩師(学生時代の指導教官)が、
現在宮内庁所属の方(数年前、同時期に大学で教鞭をとっていた)へ
連絡をとって実現したという流れです。
そこまでしなくても閲覧はできるし、
今年は皇室の文庫 書陵部の名品という特別展が行われていたのですが、
解説を頂いて初めてわかることもあるのでとても有難い話でございます。
写真撮影はNGで、見たものをおすそ分けとはいかないけれど
メモを残しておきたいと思います。
当日15人くらいで訪問したところ、展示室のような所へ通されました。
どうも臨時的な展示室を作ってくださった様子だったけれど、
そこには
・古今和歌集(カタカナ本)
・伊勢物語 下(奈良絵本)
・信長朱印状
・解体新書 (安永3年版)
・木戸孝允宛書状(坂本龍馬記)
などなどの貴重な史料が展示ケースに収められておりました。
個人的に印象に残っているのは
発色がとてもきれいだった伊勢物語〈下〉の奈良絵本ですが、
どうも歴史家の中では展示会で奈良本を出すと
「あちゃー やってしまったかー」みたいなリアクションになるらしい。
オレンジ色がとても鮮やかでいいと思うんだけどね。
一般人的には。
それと自由にさわれる参考資料として、
「和漢圖書分類目録」や「装丁の見本」
なども置かれていたので楽しませていただきました。
書陵部発行の「和漢圖書分類目録(たしか昭和26年版)」は
書陵部の持つ史料を管理するための冊子体分類目録です。
分類目録ってのは、えーと、
ジャンルで分けられたカタログってことです。
分類形式は和漢圖書分類法です。
和漢圖書分類は初めて見たけど、
分類体系はNDCと大きく異なっていました。
はしゃぎすぎてメモしてくるの忘れたけど
「法律」カテゴリの1階層下に「天皇制」があったり
「政治」カテゴリの下に「陸軍」「海軍」があったり、
コンピュータのない時代の「通信」というカテゴリに
「鉄道」とか「無線」とか書いてあったような気もする(あやふや)。
はしゃぎすぎるのも考えもの。反省です。
装丁の見本としては
粘葉装、列帖装(綴葉装)、袋装、合綴、結び綴(大和綴)、折帖、巻物、紙釘装(していそう)などが置いてありました。
この中では唯一、紙釘装という綴じ方を初めて見たんですが、
概ね以下のような作り方をイメージしていただければわかるかと思います。
1.薄い紙を数枚用意して重ねる
2.パンチで2か所に穴をあける(普通の2穴ファイルに綴じられそうな感じで)
3.1穴に対し1本ずつ「こより」を差し込む
4.穴からはみ出ている「こより」を切断
5.「こより」を叩いてつぶす
……。
文章力が足りないかもしれませんが、
伝わらなかったら、まあ、しょうがない、ということで。
その他おもしろかった話としては、
「国立国会図書館の支部図書館の位置付け」でしょうか。
宮内庁図書館として支部図書館に入るんだけど、人事異動などは基本的に行われていないそうです。
それだけでなく、
各省庁の支部図書館はそれぞれ独立していて、各省庁の枠で動いているんだとか。
今まであまり深く考えてなかったけど、
法令データ提供システムでいろいろ調べてみて、
「宮内庁組織令」の第二十条の第五号に「国立国会図書館支部宮内庁図書館に関すること」が図書課のつかさどる事務として書かれていることや、
「国立国会図書館法の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律」の
第三条 第1項・第2項から
「当該行政機関の職員のうちから、国立国会図書館法第十九条の規定により、専任の職員を任免する」
となること、
「国立国会図書館法」の第十九条で
「(前略)…当該各図書館長は、その職員を、国会職員法又は国家公務員法若しくは裁判所法の規定により任免することができる。当該各図書館長は、国立国会図書館長の定める規程に従い、図書及びその他の図書館資料を購入その他の方法による受入方を当該各部門の長官若しくは館長に勧告し、又は直接に購入若しくは受入をすることができる。」
と書かれていることから
確かに国立国会図書館が支部図書館を動かすというより、
各省庁で独立しているような感じは受けました。
とても勉強になりました。
公的な史料などはバックグラウンドの知識がないと楽しめないけど
最近は少し成長して楽しめるようになってきた。
うんうん。いい傾向だぞ。
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自己紹介
- shibagon
- ある日突然図書館司書資格関係の科目を教えることになり、司書と司書教諭の必要科目の大半を担当していました。次に図書館関連の道具を販売したり建築・改築をする仕事に転職し、図書館の機械化部門で図書館システムやらIC関係の仕事をしました。現在は大学図書館の司書(大学病院図書室、電子資料契約、RDM等の担当)として勤務。 ブログは教員のころに始めたものなので、当時からするとコンセプトは大きくずれているけど、まあよしでしょう。 博士(図書館情報学)。
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