続、人材募集に思うこと(広く周知されないパターンについて)

2024年3月11日月曜日

就職関連

t f B! P L

はじめに

先日から図書館司書としての採用関係で思うことがいろいろあります。
なんだかんだ面接に関わることになり、そこから得たものについてはまた回をあらためて書くとして、ふと広く周知されないで行われる採用についても考えてみたいと思いました。
図書館で正職員として働きたいけど、蛇の道は蛇と言うし、表に出されない情報があるところにはあって、こっそり採用活動が行われているのではなかろうか? もしそうならいったいどうやって切り込んだらいいのか? そんなことを考える人にとって、私自身の経験や、見てきた周囲の話などが役に立ちそうな気がしたので書いてみます。

前提

自分の見聞きした程度のものなので、範囲もその程度で主観に基づく話です。主に私立の大学図書館や学校図書室の話で、公共とか国立はたぶん全く違う世界観かと思います。

どこからどんな情報が手に入るのか、採用につながるのか

大学の研究室で

かつて現役の学生だった頃、指導教員から紹介をいただき、明らかに公募に出ていない大学図書館司書の採用試験に参加したことがあります。
集まり方とその後の採用者(以前からの知人と、この後に別の場所でお会いして仲良くなった知人)の情報からして、2大学計4研究室程度にしか声がかかっていなかった可能性もありました。公募が出なければもちろん競争の倍率が低いので、採用される確率も高いです。
が、落ちるときは落ちます。私のようにね!! 今も昔も文章を書くのはどうも苦手で…。

修士までお世話になっていた恩師は、科学技術系の役所のようなところに長い間勤務していた方だったし、集まる学生は大学図書館とか学術情報流通系企業に所属するかなり年上の社会人学生が多かったので、戦略的なアドバイスを教えていただくなどけっこう可愛がっていただいていました。専門的な研究テーマのおかげでインターンみたいなアルバイトも経験できたし、よく聞く話だけど、外部とつながりのある先生のもとにいると就職に結びつく可能性は確かにありますね。

出身大学とか知人に声がかかる

教員だったときに、所属大学の図書館が正職員を募集をすることになりました。
選考には関わらない立場でしたが、誰かいい人を知らないかと相談されたので、出身大学の就職担当の先生にアポをとり、図書館側が考えている条件に合う人を紹介していただきました。それだけだとさすがに人数も足りないので、条件には合わないのを承知で公共図書館の非常勤をしていた後輩にも声をかけました。
最終的に採用になったのは後輩の方で、条件にあわない人を採用したことにより出身大学の先生からは手厳しい言葉をいただきましたが、すぐにでも採用したい場合は条件を曲げてでも採用することがある、というのは一つの学びでもありました。
あと、下手に仲介役を引き受けると巻き添えをくらうことも学びました。

研究で出入りする人に声がかかる

図書館を対象に研究している学生が、出入りしたり、やり取りをした図書館から声をかけられて採用につながったパターンもあります。一応他にも何人か集めて試験はあったらしいけど、有利なスタートになっているのは間違いないでしょう。私立の大学や学校、研究所や病院の図書室ならあり得る気がします。
司書資格があることを前提に、図書館を対象に研究するような専門課程に通っていること、人柄が悪くなく、そして何よりうまいタイミングで採用できる環境が整った、などの条件が整えばこそ発生する事例です。これも御縁ってやつか。

非常勤職員としての勤務先で

これが一番よくあるパターンかと思われます。実際に何例か知っているし。
人手が足りない→時期や予算の都合もあって非常勤で間に合わせなきゃ→非常勤として採用する→働きぶりも良く雇用できる環境になったので正職員に採用、特にこれがよくあるパターンなのかなと思います。
採用側からすると能力や人格、相性を見極める時間が存分にあり、あらためてかける教育コストも少ないという大きなメリットはあるけど、採用される側からするとそもそも正職員になれる保証なんてないところからスタートを切るので、ちょっと不平等感はある。積極的に推奨できる方法でもないけど、一番現実的な手段ではある。

出身校で

出身学校の図書室に採用されるパターンも見たことがあります。図書館系の学部を卒業して数年で、司書教諭の免許を持っている人が、自宅近くにある出身校で非常勤の教員をやっていて、後に正式にその学校の司書教諭に採用されたという展開でした。非常勤から採用されるパターンでもありますね。私立学校だと、校風との相性もあったり、学生の頃から在職の先生を知っていたりして卒業生が微妙に有利な側面はあるのかもしれない。それでも、他の候補との天秤にかけられるプロセスはあったようだし、「ポストに空きができたから」という前提条件は存在していたようなので、運とか縁とかそういう要素も絡んではいますね。

図書館員が集まる場所で

図書館員が集まるようなイベントの飲み会とか(もしくは関係する団体活動を通してとか)に参加してガツガツ自分を売り込むための営業をしても、その場では空振りに終わる可能性の方が高そうですが、最近の就職戦線に関する精度の高い情報が手に入ることはあります。どんな人材にニーズがあるかとか。そういうところをしっかおさえないと、面接の対策は難しいのかなとも思います。
また、この業界は横のつながりが強いので、ネットワークでいうところのハブ(つながりの数が多い人)に話を聞くと、もうすぐどこの館の誰さんが定年だよ、みたいな情報を知っていたりします。定年で人が減るなら募集が行われる可能性はありますから(再雇用という形で働き続ける可能性もあるし、上記のように退職する人のいる館の非常勤の人に声がかかったりして、公募という形のチャンスが生まれるかはわからないですが)、他の人より少しだけ早く対策を練られます。

その他:逆によく知らないこと

・新設校の採用
少子化のこの世でも学校が新設されることはあり、そんな学校図書館に着任した方も知っていますが、情報流通経路はよくわからなかった。普通に考えると、系列校の同業種の人が採用に絡む気がするけど、どうもそうとも限らないようだし…。

・SNS
全体的に使ってないのであまりよく知らないけど、実は自分の周りだとSNSが直接就職のきっかけになったという話は思い当たりませんでした。でも私が知らないだけでたぶん何かしらあるんだろうとは思ってはいます。
かつて私立学校の司書教諭だった知人が鬱々としたツイートを更新し続けていて非常に心配になったことがありましたが、考えてみればテキストマイニングや丁寧なチェックにより、今にも司書職をやめたそうなブラック職場の人と、場合によりその人の勤務地域みたいなものを探って、空きポスト予測&地雷職場検出の仕組みを作れる可能性はあるかもしれない。やらないけど。

まとめると

ではどうしたらよいのか、ということで上記をまとめるとこんな感じになりそうです。
間に合うなら、
・図書館のことを専門的に勉強、研究する大学に通う
・外部とのつながりがありそうな教員のゼミ生になる
・図書館を研究対象として出入りする
などを考えるのが良く、それが難しいとなれば、
・図書館員の集まりへ参加しいろんな人と対面で話してアドバイスや情報収集をする
・正職員として働きたい図書館や学校で非常勤として働く
・競争倍率が低くても油断しない
・最後は運と縁
ということになるようです。

うーん、あまり驚くような結論にはならなかったか。

おわりに

いわゆるコネ採用が危険なのは、普通のルートなら確実に採用されないやばい人間をねじ込むことで、高い教育コストで在職者に負荷をかけることや、採用者の公私混同ぶり、見る目のない人間が決定権を持っていることによる先の暗さ、それに気づいた優秀な人間が順次流出、という負のスパイラルを生み出しかねないのが問題なのかと思います。
逆に言えば、採用する側も能力、適性、人格などが満たされる人材ならコネ採用はダメとはなりにくいのかもしれません。公募は優秀な経歴の人を広く集めやすい反面、人格や考え方など採用段階だけではわかりきらない部分でのギャンブル性があるのは確かですし。

その昔、学内学会の事務局を担当していたときに
「人に声をかけるとき、一流は一流を連れてくる、でも二流は三流を連れてくるんですよ」と言われたことが今でも頭に残っています。優秀な人を連れてくるためには、自分がそれだけの魅力ある人間になることも必要なのでしょう。残念ながらそれだけの人間には程遠いですが、採用をする立場になるなど人的なつながりから何か考えるようになることがあれば肝に命じておく必要がありそうです。

今回いろいろ書いていて思ったけど、運とか縁とかコントロール不能な前提条件というのは確かにあります。ごくまれに、採用をやってないかテレアポみたいな電話がかかってくるけど、そう都合よく機会なんてないんです…。とはいえ、行動してみると機会が増えたり縁が繋がったりするのかもしれません。狭き門と言われていても、努力が報われる社会であってほしいものです。

広告

自己紹介

自分の写真
ある日突然図書館司書資格関係の科目を教えることになり、司書と司書教諭の必要科目の大半を担当していました。次に図書館関連の道具を販売したり建築・改築をする仕事に転職し、図書館の機械化部門で図書館システムやらIC関係の仕事をしました。現在は大学図書館の司書(大学病院図書室、電子資料契約、RDM等の担当)として勤務。 ブログは教員のころに始めたものなので、当時からするとコンセプトは大きくずれているけど、まあよしでしょう。 博士(図書館情報学)。

ページビューの合計

このブログを検索

人気の投稿

ブクログ

QooQ