人材募集に思うこと

2023年12月16日土曜日

就職関連

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はじめに

職場で正職員の採用が行われるというドキドキなイベントがありまして。なにせ、自分が入職して10年弱なかったレアイベントなので、ドキドキワクワクもするというもの。10年に1回咲くというソテツが開花したのと同じくらいのレア度ですからね。

募集開始当日にその情報を知るくらい全く選考には関われない非管理職の立場なのですが、面識のある司書課程の先生方にはぜひとも良さげな人をご紹介いただきたくメールを差し上げてみました。
皆さん移籍とかされるので、数年お会いしていないとメールアドレスがわからない場合もざらで、少々悩ましかったです。時間的な余裕があれば、学会に行って声かけもできるのに何とも残念でした。

優秀な人材が入ってくれることを祈る他にやることもないのだけど、自分なりにどんな人を雇いたいか、何に着目するのかを考えて整理しておきたいと思います。

以下に書くのは、もちろんただの私見ですが、私立の大学図書館であること、図書館組織から他の事務部門への異動がないこと、というのは前提として大きな要素といえるでしょう。
なお、採用する側の経験としては、別の大学で図書館司書の正職員採用選考に立ち会ったことが一度だけあります。あとは自分が責任者となっている病院図書室でアルバイトさんの面接を何回かやった程度です。


1.管理職に不向きでない

周知の事実として、正職員で司書を募集するのは非常にレアです。
辞める人が少なく空きがないため募集が出ない、順次非常勤に切り替えている、というのももちろんありますが、離職が発生してもその分の人員補充がないという場合もあるのです。
さすがに限界まで人減らしが行われれば、1人退職につきすぐ1人募集なんでしょうけど、過渡期は前年比でちょっとずつ苦しくなる感じです。

そして、採用が行われない状況が続くと、時間とともに高齢化します。20代はおろか30代以下もいなくなったりします。
雇用流動化がバッチリできている社会であれば別ですが、少人数×年功序列スタイルだと、普通に仕事をしていればおおよそ年齢で管理職、という図式となります。
そのとき、誰が上に立ってもある程度は職歴の長さでカバーできそうですが、やはり明らかに不向きな人が管理職になる場合、周りが大変なことになります。周りが。
となると、組織の永続性みたいな目線で、管理職に明らかに不向きな人だと心配になってしまいます。どうしても問題なら外部からよさげな人をスカウトすればよいのでしょうが、それはそれで、お金かそれに代わる魅力がある組織だとか、相手が一刻も早く転職したいタイミングだとかでなければ成功しにくいでしょう。無茶なこと言って思い通りじゃないと怒り出すとか、パワハラ系のいかにもヤバいひとだけでなく、指示待ちの人やイエスマンもなかなか危険な香りがします。

とはいえ、選考段階で見抜けるかといったら、なかなか難しい問題ですね。就活でよく聞くバイトリーダー、ゼミ長みたいな話はどこまで参考になるんだろうか…。これはフィーリングで見極めるしかないのかな。

2.公共図書館と大学図書館の区別がついている

なんだそりゃと言われそうですが、実際にあったこととして。
以前選考に関わった際、履歴書の志望動機に「読書環境の整備(楽しみ)を大事にしたい」みたいな話が多めに書いてあり、もしかして大学図書館の業務よくわかってないのかな?という印象を受けたことがあります。

考えてみれば司書課程の授業で、大学図書館の業務について詳しく触れられる機会はあまりなかったんですよ。当然と言えば当然ですが。せいぜい、館種という概念があるよ(経営論)、NACSISが頑張ってるよ(資料組織)くらいで、電子資料契約の話は修士になってから詳しく聞いた記憶があります。最近のカリキュラムをよく知らないので今はどうなのかわかりませんが。

読書環境の整備が悪いわけじゃないけど、大学の場合、電子資料契約、学習支援、研究支援(最近だとオープンアクセス、研究データ管理)を抜きには語れないところがありますし、どうしてもミスマッチ感は否めませんでます

年齢にもよるところはあるけど、若かったり異業種からの転職なら、
社会人基礎力 > 図書館知識 という関係だと思うので、重要度は低い話です。
しかしながら、選考の場で的外れな感じになると損はするので、ちょっと調べればわかりそうなところは、うまいことやってほしいですね。

3.マニュアルやルールを作れる

多くの図書館が、少数の正職員と多数の非正規職員で回す組織になっているとして、それでも正職員のものでありつづける業務が何かを考えると、「司書らしい業務」というよりも「基本的な事務仕事に図書館関係の知識を混ぜ合わせる仕事、単純に難度が高い仕事、責任を背負う必要のある仕事」が該当するように感じます。

他部署との折衝やそのための資料づくり、導入するサービスを選定したりパフォーマンスを検証して継続可否を検討、数年おきにやってくる図書館システムの入れ替えの仕様固め、法改正に対応するためのルールや環境の整備、トラブル発生時の後始末、そして採用活動などは正職員の業務に該当するでしょう。
逆にルールベース、マニュアルベースで進む作業は自動化や機械化しやすく、外部リソースに仕事を任せやすいとも言えます。レファレンスに関しては、その間くらいというか受けた質問の難度によって変わる感じです。

それらをふまえて、適切なルールやマニュアルを作れることが、正職員には求められていると感じます。「適切な」は、組織内のことを理解しておかないと判断できないので、採用になってすぐできることではないですが、その素養が見えるなら、間違いなく魅力的な人材と言い切れますね。もちろん自分ができてるかは横に置いとくとして、ですが。

4.文章が書ける

マニュアルを作ることにも関係しますが、なんやかんや事務職なので、文書やらメールやら広報などで、文章を書く機会は多いです。会議も委員会もいろいろあり、文章力に難があると仕事の速さに露骨に影響します。自分自身あまり得意ではないので、すぐ書ける人はうらやましいなと常々思っています。なので文章が手早く正確に書ける人や、生成AIの使い方でカバーしてます!と言える人は強いですね。

5.情報リテラシーがある

副収入の回でも少し書きましたが、情報リテラシーは大切です。マナーやセキュリティというより、技術的な方で。大学では情報基盤環境がそれなりに整っていますが、予算の関係でときどきサービスが切り換えられたりもしますし、図書館員に求められるサービスも高度化している背景があります。
図書館から外の部署に異動にならないので、他部署のスキルがどのくらいのレベルなのかは謎ですが、学内研修に参加したときの印象では「大体の人がエクセルで関数を使い、ときどきマクロを使う人もいる。でもGoogle Apps Scriptとかのスクリプトに手をだす人はめったにいない。」くらいの印象なので、学内的にも今までは必須スキルとはされていません。しかし、知識があれば業務を効率化させられるのは確実で、自分はプログラミングなんてできないよと言っている高齢層でも関心は高く、プログラミングを中学や高校で学ぶような世代の若者が世に出る(=もはや教養の一種となっている)ことを考えると、何らかの言語でちょっとしたスクリプトくらい書いたことがある人を求めても罰はあたらないでしょう。学内でも、そういうスキルがないと積極的に採用しにくいという風潮はでてきているようです。
とはいえ、図書館員を採用するは話であってSEを採用する話ではないので、必要に応じて勉強すればちょっとした処理を自動化して効率化できそう、くらいなら良いのでしょう。学生時代プログラミングがとても苦手だったけど、自分でもちょっとしたものを作るようになり業務効率化にはだいぶ貢献できていると思うので、そういう仲間が増えると単純にうれしいし、自分の手を離れることになったもののメンテナンスしてもらったり改善してほしいときもあります。今は便利なソースコードが落ちていたり、解説記事も探せばあるから、昔よりハードルは低いはず。

おわりに

状況判断として、考えるところをいろいろ書いてはみましたが、自分が全ての条件を満たせないということも明らかなので、ここに書いたものはその程度の記事です。そもそも入職してから成長することだって十分あるわけで、全てを満たす必要は感じません。ただ、履歴書を書く際に、どういう方向で具体的なエピソードを盛り込むか悩んだ人がいて、ここにたどり着く人がいたらいいなとは思っています。以前にも近いことを書いたことはありますが、しばらく大学図書館で働いてみて、見え方も変わってきたところがありますからね。

しかし…、どうやって各種能力を判定したらいいのか、そこは謎です。自分自身は一本釣りされた形なので、履歴書や面接の攻略法などはよくわかってないし。
みんなどうやって見極めているんでしょうね? 試用期間3か月はもうよっぽどじゃない限りそこで終わりにはならないだろうし。 書類と面接だけってリスク高すぎない? 初対面でフィーリングを頼ってそのまま結婚するような難しさじゃない?それってうまくいくの? そう考えると、本当は一緒に働いてみて考える時間がほしいので、自分が選ぶ立場になったらインターン制度みたいなのが実践できないか人事部門にかけあってみたいものです。そんな機会があればの話ですけどね。

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自己紹介

自分の写真
ある日突然図書館司書資格関係の科目を教えることになり、司書と司書教諭の必要科目の大半を担当していました。次に図書館関連の道具を販売したり建築・改築をする仕事に転職し、図書館の機械化部門で図書館システムやらIC関係の仕事をしました。現在は大学図書館の司書(大学病院図書室、電子資料契約、RDM等の担当)として勤務。 ブログは教員のころに始めたものなので、当時からするとコンセプトは大きくずれているけど、まあよしでしょう。 博士(図書館情報学)。

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