世界的な大学ランキングの評価指標を眺めよう その3 THE編

2013年2月18日月曜日

研究 世界大学ランキングシリーズ

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今回はTimes Higher Educationが提供するTHE World University Ranking (THE世界大学ランキング)です。

2004-2009年までのQuacquarelli Symonds版(THE-QS)とそれ以降のThomson Reuters版(THE-TR)があります。

QS版については過去のものですが、
現在THEと離れたQS社がNews & World Reportと共同でWorld's Best Universities Ranking と言う形で出ておりますので、次回に。

ARWUとこれは先におさえておきたいランキングだと思っております。

ここでは
World University Ranking
World Reputation Ranking
100 Under 50
の指標等について触れましょう。


[ %]は最終的なスコアを出すときの重みです。


2012-2013のTHE-TRについてはこんな感じ
  • 国際性 
    • 外国人学生比率 [2.5%]
    • 外国人教員比率 [2.5%]
    • 国際的な論文の割合  [2.5%]
      • 各大学から公表された全雑誌論文のうち、1人以上の国際的な共著者がいる論文の割合。公式サイトの原文:the proportion of a university's total research journal publications that have at least one international co-author and reward higher volumes.のreward higher volumesの部分はよくわからない。
      • 分野によって補正する
      • 「論文の引用」指標と同じ期間(過去5年間)が対象
  • 研究
    • 同業者による評判 [18%]
      • 自前の世界的な調査。レスポンスは16000件以上。
    • スタッフあたり研究助成金  [6%]
      • 購買力平価で正規化 
      • 大学の分野を考慮する
    • スタッフあたり論文数 [6%]
      • Web of Scienceに収録された学術雑誌に掲載された論文数
      • 分野を考慮して標準化する
  • 論文の引用
    • 論文の被引用数 (学問分野により正規化) [30%] 
      • 最重要
      • 2006-2010年の5年間にWeb of Scienceに収録された論文が、2006-2011年の間に引用された回数。
      • ちなみにこの期間に600万論文が5000万回の引用を発生させているそう
      • 分野の引用回数を考慮して標準化する。
  • 産業収入 
    • academic staffあたり産業界からの収入 [2.5%]
  • 教育と教育環境 
    • 同業者による評判 [15%]
    • スタッフあたり学生数 [4.5%] 
    • 学士授与/博士授与比 [2.25%]  
    • academic staffあたり博士授与数  [6%]
    • academic staffあたりの収入 [2.25%]
      • 購買力平価


学部レベルの教育を行っていない、狭いテーマのみを教育している、
(2012-2013版の場合は)2006-2010年の間に論文を1000本(年200本)に届かない
などの組織は除外される。

ただし、工学や人文科学などの論文数が少ない分野では年間200論文いかない場合でも対象になっていることがあるらしい。


評判についての収集方法等についてはThomson Reuters Global Institutional Profiles projectのページ(http://ip-science.thomsonreuters.com/globalprofilesproject/)から確認できます。
調査対象者の分布はThomson Reuters Academic Reputation Profile Reportから確認できます。

この中ではAcademic staff (68%)、Research staff (14%) 、Senior institutional leadership (7%)、Graduate/ post-graduate student (6%)、Teaching staff (1%)、Management and administrative staff (1%)、Other position at an institution (1%)、Not currently working at an institution (2%)に分けられているし、
どうもスタッフという定義がよくわからないので、原文でacademic staffと書いてあるところはそのまま持ってきました。


各指標の値をZ-scoreで標準化してから重みづけを考慮して最終的なスコア算出&ランク付け。

Z-scoreは、(各大学の値-平均値)/標準偏差で算出。
いわゆる標準化得点、というか偏差値。各大学の各偏差値を、重みづけして合わせる。

昨年から「評判」のスコアを出すのに指数関数モデルで分析しているとか。
少数の大学に高い人気が集中することを考慮しているらしいけど、
詳しい計算方法は調べがつかなかった。論文探せば書いてあるかな。




World Reputation Rankingの場合

専門分野の中で"最も良い組織"としてノミネートされた回数を、
研究に関する評判と教育に関する評判それぞれから2:1の比率で混ぜて最終的な各大学の値にしているらしい。

ちなみに回答者は15大学に投票可能。
大学ランキングと異なるスコア計算法であり、
100機関までランキングしてあるものの50位以下の値は大差ないので10位ずつまとめて表示。



100 Under 50 の場合

50年以下の若い大学を対象にした100位までのランキング。

指標そのものは本調査と変わらない様子だが、
評判に関する指標の重みが若干減らされている(その分他の指標の重みが増えている)。
若い大学は知名度が低かったり卒業生も少ないためらしい。

日本でランクインしたのは筑波大学のみ。
旧帝国大学系に次ぐような存在感だし師範学校のイメージがあるからピンとこないし、
案外50年って長いんじゃなかろうか…。



何気にiPhone用にアプリが出されているという点もなかなか素敵なランキング。
世界の大学に興味がある人にぜひ教えてあげたいものです。

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自己紹介

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ある日突然図書館司書資格関係の科目を教えることになり、司書と司書教諭の必要科目の大半を担当していました。次に図書館関連の道具を販売したり建築・改築をする仕事に転職し、図書館の機械化部門で図書館システムやらIC関係の仕事をしました。現在は大学図書館の司書(大学病院図書室、電子資料契約、RDM等の担当)として勤務。 ブログは教員のころに始めたものなので、当時からするとコンセプトは大きくずれているけど、まあよしでしょう。 博士(図書館情報学)。

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