世界的な大学ランキングの評価指標を眺めよう その9 SCImago Institutions Rankings編

2013年3月18日月曜日

研究 世界大学ランキングシリーズ

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データはScopusを使用。
Higher Education(学位の授与機構を備えた組織), Health(ライフサイエンスと地球科学など高等教育ではない組織、病院、リサーチセンター、研究所など), Government(国の機関など、行政機関も含む), Private(企業など), Other(国際機関など)に分けてランキング。


各組織について以下のような指標を適用。
  • Output
    • 科学的なペーパーの数。共著の場合はそれぞれの組織に点数を分けて割り当て。
  • International Collaboration::IC(%)
    • Outputのうちの国外機関とのコラボレーションをしている比率。
  • Normalizad Impact::IN
    • 機関の規模を考慮した指標。機関のインパクト(被引用数/ペーパー数)を同期間・同分野のインパクトで割って標準化したスコア。
      • スウェーデンのカロリンスカ研究所では"Item oriented field normalized citation score average"という名前がついてるとか。そのまんまだなおい。
  • High Quality Publications
    • 各分野のSJR indicator(SCImago Journal Rank indicatorという雑誌評価指標)において上から25%に入るとされた雑誌に掲載された比率。
    • SJR indicatorは複雑な式を使っている
      • 概念的にはGoogleのPageRankと同じようなアルゴリズム


組織についてはInternational Association of Universities (UNESCO)や各国の公的情報からリストを作成。機械的な処理によってScopusのデータと自動でマッチングする”名寄せ”(authority control)処理を行っている。作業は世界各国の30人のインフォメーションスペシャリストで構成されたチームが頑張っているらしい。

High Quality Publicationの決め方がやや特徴的ではあるけど、指標としては普通だな。

ちなみにOutputの指標で並べられたランキングをざっと眺めた感じだと、
1位のCNRS(フランス)や2位の中国科学院、3位ロシア科学アカデミー、
5位のマックスプランク研究所、7位のNIH、9位のCSIC(スペイン)がまず見えて、
そりゃあ国策の機関はでかいから大量生産で強いよなぁと感心させられた。

そんな中で、大学としては4位のハーバード、6位の東京大学あたりがさすがの強さを見せているのも印象的です。

直感的な感覚としては、
Web of Scienceからデータをとってきて分析しているランキングと少々異なり、
上位の機関に非英語圏も見られる気がする。
これはデータの収録対象範囲の問題かな。Scopusの方が広いし。
分野差がどの程度出ているのかが気になるところだ…。


研究者として仕事場所を選ぶときに、
大学・研究所など問わずに視野に入れたければ使えるランキング、というのがベストな使いどころな気がするな。

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自己紹介

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ある日突然図書館司書資格関係の科目を教えることになり、司書と司書教諭の必要科目の大半を担当していました。次に図書館関連の道具を販売したり建築・改築をする仕事に転職し、図書館の機械化部門で図書館システムやらIC関係の仕事をしました。現在は大学図書館の司書(大学病院図書室、電子資料契約、RDM等の担当)として勤務。 ブログは教員のころに始めたものなので、当時からするとコンセプトは大きくずれているけど、まあよしでしょう。 博士(図書館情報学)。

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