はじめに
今年から電子資料・電子ツール契約の主担当となり、特にスケジュール面や説明用資料作成でなかなか大変でしたが、無事に上の承認を得る運びとなりました。これで安心して年を越せそうです(海外製品は契約期間が1〜12月固定の場合もあるため、承認がとれていないと大変)。良かった良かった。強気な価格設定で、値上げ待ったなしの学術系出版社の製品やサービスは、なかなか悩ましいものです。
しかし逆に考えてみれば、当たり前のように値上げができて、なんやかんや研究者の評価もそんなに簡単に変わらなそうなため老舗のブランド力は抜群で、寡占化が進み代替もきかないため競合製品が少ないという点は、なかなか手堅い商売のようにも思えます。よく吸収合併は見られるけど、つぶれた会社は取次のSwets社くらいしか知らないし。
業界全体で構造改革の嵐が吹き荒れていて、一度買っても売り時が難しそうだし、ここらの会社はコンビニ並みの確率で統合しそうで、手を出すにはちょっと勇気がいる印象ですが、株価は堅調な感じでもありました。
しかし逆に考えてみれば、当たり前のように値上げができて、なんやかんや研究者の評価もそんなに簡単に変わらなそうなため老舗のブランド力は抜群で、寡占化が進み代替もきかないため競合製品が少ないという点は、なかなか手堅い商売のようにも思えます。よく吸収合併は見られるけど、つぶれた会社は取次のSwets社くらいしか知らないし。
となると、株でも買って利益がでたら、仕事が大変でも前向きに頑張れるのではないだろうか?
前提条件
インサイダー取引で問題になるような情報を知ることはなさそうだけど、営業さんのおしゃべり具合によっては若干心配な側面はあります。また、本当に買うと利益相反(職員として契約中止等の案を検討する立場にありながら、個人の利益のために契約継続をしかねない)の面ではどうなのかとも思えます。
が、いったんそれらは横に置いといて、そもそも買えるものなのかどうかを調べてみたいと思います。日本支社などではなく、本社の株です。
代理店は対象外とします。過去に取引がない会社のことは思いつかないので対象外となります。あと、学会とか大学出版会などはまさか株とかないだろうと思って調べていません。
投資の知識はほとんどないので、いろいろなことがよくわかっていません。そのため探し方は、ひとまずごく普通にGoogleで各社の名前と株などのワードを入力して検索し、よくわからなければ会社の歴史等の他の情報も含めて掘り下げるようにしました。
取引があれば企業の人の雰囲気とかは少しわかるけど、株として「買い」なのかもまったく判断ができません。でもいつか何かの役に立つかもしれないので調べてみよう。
各社の様子
Elsevier B.V.
学術出版社として名高いエルゼビア社。さらっと検索しただけだと株関連情報は出てこないので上場してないのかな…と思いつつ、よくよく見積書などを見てみると社名の横に会社の種類らしきB.V.との記載があります。B.V.について調べてみると、非公開株式会社(Besloten Vennootschap met beperkte aansprakelijkheid:B.V.)を指す様子。ということで、株を買うことはできないみたい。残念。John Wiley & Sons, Inc.
ワイリー社は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で「John Wiley & Sons A(WLY)」と「John Wiley & Sons B(WLYB)」という2種類の株が存在する様子。どうも議決権の有無とか購入できる最低価格とかでグレードが高いClass Aと、グレードが低いClass Bあるらしい。アメリカの株はたまにそういうものもあるんだとか。
学術出版社は、てっきり購読料やAPCを資金源として運営されている会社だとばかり思っていたが、そもそも購読料がなくてもお金が集まる仕組みになっているようだ。
今まで考えたことなかったな。
Springer Nature AG & Co KgaA
AG & Co KgaAの部分がよくわからないので調べてみると、ドイツの会社の種類である「株式合資会社」を指すらしいのだけど、デュッセルドルフ日本商工会議所によれば「ドイツでも株式合資会社の形態はあまり利用されていない。」と書いてあるので、珍しい形態らしい。Wikipediaには非公開株と書いてあったが、ロイターの記事では2024年の10月に上場した記事もあったので買えるみたい。やったね!
Wolters Kluwer N.V.
B.V.とは異なり、N.V.はオランダの公開株式会社を指す表記らしいので、買えるらしい。そして長期的に株価はずっと上がっている様子。Lippincott williams & wilkins(LWW)は特殊な価格体系の商品という印象があるし、UpToDateなどの製品も手堅そうだし、なんだか納得ではあるかも。
Clarivate Plc
株式公開されていて、買えそう。
ISI社がトムソン・ロイター社に買収され、そこから分社したと思っていたけど、英語版Wikipediaを見るともうちょっと複雑なようだ。ProQuest、Ex Librisなどが傘下に入ったのは記憶にもあるところ。
EBSCO Industries, Inc.
EBSCO Information Services (EBSCO) が EBSCO Industries, Inc.の完全子会社という関係らしい。経済音痴なのでよくわからないけど、公式ホームページで格付け機関で最高ランク、アメリカ最大級の非公開企業と書いてあるので、株を買ったりはできないらしい。
残念だけど、興味がわきますね。
Karger
スイスを本拠地とする医学出版社。そういえば外貨の見積もりはスイスフランだったな。
AGが付いている表記もあるし株式会社のようだけど、株は公開されていない?様子。
同社のPeople and Organizationというページを見るとKarger姓の方が複数名いらっしゃるようですし、公開されていなくても驚きはしないか。
Taylor & Francis
親会社のInforma plcの株は買えるようだけど、その一部門であるTaylor & Francisだけを買うことはできなさそう。
The Sage Group plc
株式公開されていて買えそう。けっこう値動きがある印象。
Thieme Group
出版社というか医療関係の事業を手広くやっているようだけど、Yahoo! FinanceとかでもPrivate Companyと書かれているようで、買えないみたい。
おわりに
ふーむ、なるほど。調べてみるとなかなか面白かった。
こんな業界にいると、学術出版社憎しみたいな発言をされる人もときどきいます。
その割に「クラウドファンディングでお金集めて株買って会社乗っ取ろうぜ!」みたいな話は聞いたことないなあ、と素朴な疑問があったのですが、そもそも株が公開されてないことも多々あるし、株価も高いことがわかりました。とりあえずこれが今回の成果でしょう。
なんでだろうね。やっぱり強気な商売ができるから?
しかし新しく株式会社化するというのは、どこに戦略的なねらいがあるんだろう?
株主優待でAPC(論文処理費用。無料で論文を公開するために払うお金。数十万することも珍しくない。)のチケットがもらえるようになったりするんだろうか。
なんか見守るの楽しくなってきた。
そのうち契約案検討担当から外れて、出世もしなければ安心して買える日が来るかもしれないので覚えておこうっと。
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