ファンドレイジングが注目を集める時代になり、
「運営資金に余裕がないなんて言ってないで自力で確保しよう!」
というたくましい図書館もあったりなかったりするようです。
個人的には、その中でもソーシャルな集め方である
「クラウドファンディング」という手法がとても気になっていたりします。
(※ピンポイント攻撃でも絨毯爆撃でもなくターゲットがぼんやりした不思議なアプローチなので、
どのようにすれば効率が良くなるか・成功できるのか、成功要因部分にとても興味をひかれる。)
図書館のファンドレイジング・クラウドファンディングの基本的なことについては
今年行われた図書館総合展のフォーラム
「専門図書館のファンドレイジング 日米の資金調達の事例報告と今後の課題」 のスライド(http://www.slideshare.net/masakimatsubayashi3/ss-27848832)が、
資料を引用する意味で大変便利な形でまとまっているように思えたので紹介するにとどめ、
このブログでは広く事例を集めて考えてみることにします。
ひとまずウィキペディアのクラウドファンディングの項目で参照されていた文献
(http://ymatsuo.com/papers/jsai11crowdfunding.pdf)をちょっと読んでみたところ、
アメリカでは200以上のサービスが存在するとか書いてあって衝撃を受けるわけですが、
そこまで頑張れないので、
この文献に載っているサービスとNAVERまとめあたりを見ながら、
図書館関係のネタを探しましょう。
個々のサービスについての説明も最小限にとどめます。
- cofundedu(http://www.cofundedu.com/)
カレントアウェアネスポータルでも夏ごろ紹介されていました。
記事はこちら「図書館員のカンファレンス参加費調達を支援するクラウドファンディングサイト?CoFundEdu(米国)」
資金集めの目的が「only library related conferences」、援助希望額は最大で「2000.00 USD」ですってよ。
しかしあんまり活用されているようには見えないというか…。
カンファレンスに行かないのは金ではなく時間か気力の問題…?
- JustGiving(http://www.justgiving.com/)
図書館は片手で数えられる程度しか寄付を募っていなかった。
National Library of Walesという国立の図書館とか
Edith Cowan Universityという大学などが寄付集めをしていたが、
特にうまくいっている様子もなかった。
組織単位よりプロジェクト単位の方が資金は集めやすいかもしれない。
- GlobalGiving(http://www.globalgiving.org/)
ケニア、ネパール、ベトナム、グアテマラ、ベリーズなど比較的小さな国で
図書館を作るための資金集めのプロジェクトなどを多数発見。
なかなかの賑わいを見せている様子。
日本の新車1台と同じ額で図書館建ったりするんだなぁ、とか
「図書館がなぜ必要か」という説明は日本人よりうまそうだなあとか考えながら見ていた。
あと日本の図書館的なものも1件だけあった。
(http://www.globalgiving.org/projects/childcare-support-at-disaster-stricken-tohoku/)
- DonorsChoose.org(http://donorschoose.org/)
公立学校の先生が備品購入費を集めるためのサイトらしい。
なので主に学校図書館の話。
本とか、本棚とか、ブックトラック、ヘッドホン、検索用端末などいろいろ必要とされている。
「本の検索用にChromebookが欲しい」なんてのは贅沢な要求にしか見えないのだけれども…。
全体的にあまり盛り上がっているようには見えないが
公立学校となると「まず自治体が予算組めや」みたいな空気があるのだろうか…?
しかしながら見積りが表示されているのはいい感じ。
- Causes(http://www.causes.com/)
Sign the Petition、Donate、Pledgeなどいろいろな支援の形がある様子。
図書館ネタの数はあまり多くないらしいが、
図書館建設、アドヴォカシーの費用、刑務所で仏教教育するための支援まで内容はいろいろ。
ビデオライブラリーを作って教員を支援したい、みたいなプロジェクトもあり
実現したらどうなるものなのかとても興味深い。
図書館ネタの数はあまり多くないらしいが、
図書館建設、アドヴォカシーの費用、刑務所で仏教教育するための支援まで内容はいろいろ。
ビデオライブラリーを作って教員を支援したい、みたいなプロジェクトもあり
実現したらどうなるものなのかとても興味深い。
- IndieGoGo(http://www.indiegogo.com/)
本を買うため、学校図書館を建てるためなどの目的で使われている印象。
見返りの品物としては、バッジやお礼のカード、
プリントTシャツ、プレートに刻印を入れる、
子どもたちに読み聞かせをできる権利、子どもたちと一緒に写真を撮れる、
図書館のネーミングライツがもらえるなど。
いろいろあるもんだ。ネーミングライツはちょっと欲しい。
- Kickstarter(http://www.kickstarter.com/)
LITTLE LIBRARYの資金調達に使われている例が多数。
BIBLIOBICICLETA(http://www.kickstarter.com/projects/912201067/bibliobicicleta?ref=search)のプレゼン動画がなんか好き。
日本のミニライブラリーだとどうなるだろう?
- READYFOR?(https://readyfor.jp/)
国内で初めての購入型クラウドファンディングのサービス。
図書館を作る、本を贈る、などに活用されている。
松竹大谷図書館でのデジタル化費用獲得は成功事例としてもよく見かけます。
(https://readyfor.jp/projects/ootanitoshokan2)
個性的な図書館は強いのかもしれない。
- OpenIDEO(http://www.openideo.com/)
社会問題対策を段階的にコンペで選抜し、実現を目指すサイト。
仕組みはITメディアのこちらの記事を読むと良さそうです
(社会問題をソーシャルネットワークで解決するOPENIDEOの挑戦)
直接的に図書館をどうするって話はなさそうだけど、
解決策の一つとして図書館が引き合いに出されることもあるみたい。
Reimagining the 21st Century Library
(http://www.openideo.com/open/vibrant-cities/concepting/reimagining-the-21st-century-library)なんかがその例。
『図書館を"何か"に役立てる』という応用こそ
本来図書館の専門家が頑張るべきフィールドだと思う。
- GoFoudMe(http://gofundme.com/)
8-Bit Funding(http://8bitfunding.com/)から移行した。
小さなものから大きなものまで、図書館を作る費用が求められているプログラムが多い。
館種も様々。
どちらかというと気になるのは「寄付のカテゴリー」。
Non-Profits & Charities、Community & Neighbors、
Volunteer & Service、Education & Learningなど様々なカテゴリが付いている。
図書館を作るってのは教育目的とは限らないし、コミュニティ作りとも限らない。
作ってあげようとする側もチャリティなのかボランティアなのか、
意識の持ち方も一様ではないらしい。
- Pozible(http://www.pozible.com.au/)
オーストラリア中心のクラウドファンディング。
他国への本の寄贈や映像制作などでLibraryが引っかかる。
意外にも建築がないな…。
______おまけ:図書館があまり関係なかったサイト、活動がないサイト______
- CAMPFIRE(http://camp-fire.jp/) 探しにくいのであきらめた。
- ShootingStar(http://shootingstar.jp/) 探しにくいのであきらめた。
- PIECE UNIQUE(http://pieceuniqueproject.com/) →MICROMECENAT(http://micromecenat.org/index.html) サイト構築中。デザイナー用のサイトで小規模な印象だが、図書館の内装工事には役立つか?
- motion gallery(http://motion-gallery.net/)
- GREEN GIRL(http://green-girl.jp/)
- Cerevo DASH(http://dash.cerevo.com/)
- RocketHub(http://www.rockethub.com/)
- Quirky(http://www.quirky.com/):発明のアイディア販売中。必ずしも役に立たない。
- Kiva(http://www.kiva.org)
- Spot.us(http://spot.us/):一時終了?
- Crowdtilt.com(https://www.crowdtilt.com/)
- i-kifu(http://www.ikifu.org/)
- wesym(http://wesym.com/)
- cofter→なくなった
- ドリパス(https://www.dreampass.jp/)
- myringHR(http://hr.myring.me/)→最近は更新されていないようだ
- 東京レストランファンド(http://www.restaurantfund.co.jp/)→活動停止か
- 夢の病院をつくろうPROJECT(http://yumenobyouin.org/)→最近は更新されていないようだ
- ガクチャリ(http://gakuchari.jp/)→なくなった?
- Startappme→もともと活動していない?
ソーシャルレンディングもとりあえず眺めてみる
- セキュリテ(http://www.musicsecurities.com/)マイクロ投資。食べ物多くて楽しい。
- AQUSH(アクシュ)(https://www.aqush.jp/)
- maneo(マネオ) (https://www.maneo.jp/)
- microbank→終了
なんとも流行り廃りが激しいようで…。
______終了______
今回のまとめ
- "何故お金が必要なのか"を明確に説明できないと説得力がない。その金額を設定した根拠となる見積もりも出した方が誠実。
- 予算獲得の際どのようにステークホルダーへ説明したら良いか悩んだときにもクラウドファンディングのネタは参考になるはず。
- お礼をするタイプの場合、「無形で喜ばれる何か」を差し出せる事が重要だけれど、まだ改善の余地が残されている気がする。果たして価値はどのように生み出されるのか?気になるところです。
- イニシャルコストを集めるものが多い。というか安定収益ではないのでランニングコストがかかるものは不向き。フリーのミニライブラリー(鳥小屋くらいの大きさ)を作る費用を集めるために活用するのが実績面を見ても手頃な様子。
- 組織への援助よりプロジェクトの援助の方が直接的な使途がわかるためか盛り上がりを見せている。
- クラウドファンディング同士、すなわち「取引場所」自体が競争にさらされている。人が集まらなければプロジェクトが集まらない。プロジェクトがなければ人も集まらない。ソーシャルな世界は数こそ前提条件であり有用性を左右する要素でもある。日本はREADYFOR?一択になるかも。mixiの興亡みたいな動きをしそうだが…。
- 寄付されたお金で「高級品」などを買うことが許されるのか疑問。他人の金で贅沢ってわけにはいかないので単純に考えれば問題があるとも思えるが、長期的に使えば割安なものは確かに存在する。クラウドファンディングでは難しいのか…? うまく越えられる可能性もある壁だが、今回それらしい事例は見られなかった。
- 個性的で代替がきかない図書館、社会全体へ役に立つと思われる図書館は資金を募る動機を説明しやすそう。ではそうでない図書館が資金を獲得するにはどうしたら良いのか。そのあたりの成功事例は今回見つけられなかった。今後も注視したいところ。
「業界がしけたツラしてちゃあいけねえや!」って気持ちがあったり、
商品を売りつけるようなスマートではないビジネスも御免こうむりたい、という
バックグラウンドもあったので運営資金を増やす方法を少し調べてみました。正直なところ路線的にはクラウドファンディング向きではない商材が多いのだけど
どこかで知識は役立つことでしょう。頑張ってみよう。
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