図書館で探し物をしていたときに
偶然『図書館の敵 公共図書館批判から生まれるもの』という本をみつけ、
攻めの姿勢を感じるタイトル、自費出版本であることなど、
何か嗅覚に感じるものがあったので借りてみました。
webcatだと所蔵している館は9つしかないし、
ゆにかねっとでも7館しかないみたいだし、
筑大図情で見つけたこの偶然を大事にしようかと思いましてね。
著者の西澤敏明氏は、
名大で物理学を専攻し、図書館短期大学に通い、
名古屋市で30年間司書として働いておられた方だそうです。
タイトルはウィリアム・ブレイズの『書物の敵』よりとったとか。
基本的には
「公立図書館の現場視点から問題と思う点について検証した本」
と紹介するのが適切かと思います。
個人的には
「学者や著名人の発言、図書館や司書職のあり方などについて納得がいかないことも多い(特に発言の根拠に疑問を持っている)ので、文献の調査や自らの体験を基に疑問を呈した本」
であると受け取ったんですけどね。
学術書ではないものの出典を丁寧に明記されている印象を受けましたし
司書資格の単位をとった学生が
総合的に図書館のことを議論をするために読むのも良いかと思います。
労災や監査などの具体例、
貸本屋の大惣(名古屋だからね)についての解説、
某図書館学者の図書館観への疑念、
NYPLをアメリカの典型的な図書館と捉えるべきか否か、
など勉強になる点がいくつもありました。
もっとも、僕は不勉強な人間ですから
引用元の文献だけでなく、それ以外の情報も集めてみないと
妥当な論の展開であるか判断ができなかったというのもまた事実ですが。
公立図書館を専門に研究している方がどのような感想を持たれるのか、
それが非常に気になる一冊です。
我こそはという方、ぜひいかがでしょう?
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